特定性犯罪とは?日本版DBSで確認される性犯罪の範囲と「何年前まで」の考え方

特定性犯罪とは?日本版DBSで確認される性犯罪の範囲と「何年前まで」の考え方

日本版DBSでは、子どもと接する業務に従事するスタッフについて、性犯罪の前科の有無を確認する「犯罪事実確認」が行われます。ただし、確認の対象になるのは、あらゆる犯罪ではありません。こども性暴力防止法で「特定性犯罪」として定められた性犯罪の前科に限られます。

この記事では、特定性犯罪とは何か、どのくらい前の前科までが確認の対象になるのか、そして事業者が誤解しやすいポイントを整理します。

1.特定性犯罪とは

特定性犯罪は、こども性暴力防止法第2条第7項で定められた刑法等の罪と、都道府県の条例で定める罪のうち政令で定めるものを指します。こども家庭庁の資料では、たとえば次のようなものが挙げられています。

  • 不同意性交等、不同意わいせつ
  • 児童買春、児童ポルノの所持
  • 痴漢、盗撮
  • 未成年者に対するみだらな行為(いわゆる淫行)

子どもに対する罪だけでなく、成人に対する性犯罪も含まれる点に注意が必要です。

2.確認の対象になるのは「一定期間内」の前科

特定性犯罪の前科であっても、一定の期間を経過したものは確認の対象外となり、確認結果は「非該当」として通知されます。期間は刑の種類によって異なります。

  • 拘禁刑の実刑:刑の執行を終えた日などから20年
  • 拘禁刑の全部執行猶予:裁判が確定した日から10年
  • 罰金刑:刑の執行を終えた日などから10年

また、示談などにより不起訴となり、刑に処せられていない事案は、そもそも前科ではないため確認の対象に含まれません。犯罪事実確認は「性犯罪に関係するすべての情報」を調べる制度ではないということを、正しく理解しておく必要があります。

3.確認のタイミングと確認書

子どもと接する業務に従事する人については、雇入れや配置転換の際に確認を行い、その後も5年ごとに確認することとされています。

確認の結果は「犯罪事実確認書」として交付されます。書式は令和7年12月25日付の官報に掲載されています。確認書は、原則として交付の申請から交付までを「こども性暴力防止法関連システム」上で行い、交付された確認書は画面での閲覧のみ可能となる予定です。誰がどの端末で確認書を閲覧するのかなど、社内での取扱いをあらかじめ決めておくことが大切です。

確認結果は、本人にとって極めて機微な情報です。認定事業者には、特定性犯罪の前科等の情報を適正に管理するための「情報管理措置」が求められ、情報管理規程の整備は認定申請の添付書類にもなっています。閲覧できる人を限定する、確認の目的以外に使わない、保存や廃棄の方法を決めるといったルールを定めておきましょう。あわせて、5年ごとの再確認の時期を台帳などで管理し、確認漏れが起きない仕組みをつくっておくことも欠かせません。

4.特定性犯罪の前科が判明したら

確認の結果、特定性犯罪の前科があることが判明した場合、事業者は性暴力のおそれがあるものとして、その人を子どもと接する業務に従事させないための措置をとる必要があります。代表的なのが配置転換などの雇用管理上の措置です。

注意したいのは、前科が判明したからといって、ただちに解雇できるわけではないということです。その職員にも尊重されるべき人権があり、就業規則にもとづかない処分は無効とされるおそれがあります。どのような措置をとるのかを、就業規則や対処規程にあらかじめ定めておく必要があります。

また、こども家庭庁は、制度開始後のトラブルを防ぐため、制度開始前から採用選考の際に誓約書等で求職者の性犯罪前科の有無を確認しておくよう呼びかけています。採用時の書類の見直しも、早めに進めておきましょう。

5.「前科がない=安全」ではない

犯罪事実確認は、子どもを守るための重要な仕組みですが、万能ではありません。確認できるのは一定期間内の特定性犯罪の前科に限られ、初めて加害に及ぶ人を事前に見つけることはできません。

だからこそ、こども性暴力防止法は犯罪事実確認だけでなく、服務規律などのルールづくり、日常的な観察や面談、相談窓口の設置、研修の実施といった多面的な安全確保措置を求めています。前科の確認と日々の予防策を両輪で進めることが、子どもと職員の双方を守ることにつながります。

まとめ

特定性犯罪の範囲や確認の対象期間を正しく理解しておくことは、制度への過度な期待や誤解を防ぎ、職員への説明を適切に行うための前提になります。

当事務所では、社会保険労務士・行政書士・公認心理師の立場から、犯罪事実確認に対応した就業規則・規程の整備や、採用書類の見直しをサポートしています。

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