
犯罪事実確認とは、子どもと接する業務に就く人に、特定の性犯罪の前科があるかどうかを国に確かめる手続きです。こども性暴力防止法(令和6年法律第69号)に基づき、対象事業者は、こども家庭庁から交付される犯罪事実確認書で確認を行う必要があります。この記事では、施行ガイドライン(令和8年9月改訂)とQ&A(令和8年9月29日改訂)をもとに、確認の期限、手続きの流れ、事業者が準備しておくことを図表で整理します。(出典:こども家庭庁「こども性暴力防止法・ガイドライン」)
- 新しく業務に就く人は、業務を始める日までに確認を終えます。
- すでに働いている人は、義務対象事業者は令和11年12月24日まで、認定事業者は認定から1年以内に確認します。その後は5年ごとに再確認します。
- 申請から交付までの目安は、日本国籍の人で2週間から1か月、外国籍の人で1か月から2か月です。
- 前科にあたる場合は、事業者に結果が届く前に本人へ通知され、本人は2週間以内に訂正を請求できます。
- 犯罪事実確認に手数料はかかりません。
犯罪事実確認が必要となる時期と期限
確認の期限は、その人がいつから業務に就いているかで変わります。
| 対象になる人 | 義務対象事業者(学校、認可保育所など) | 認定事業者(学習塾、スポーツクラブなど) |
|---|---|---|
| 新しく業務に就く人 | 業務を始める日まで | 業務を始める日まで |
| すでに働いている人 | 令和11年(2029年)12月24日まで(申請の時期は分散して割り当てられます) | 認定の日から1年以内 |
| 5年ごとの再確認 | 前回の確認日の翌日から5年を経過する日の属する年度の末日まで | 同じ |
新規採用時の確認原則
学校設置者等の義務対象事業者は、教員等として業務に従事させようとする者について、実際に業務を行わせる日までに犯罪事実確認を行わなければなりません(法第4条第1項)。認定事業者も同じく、教育保育等従事者として業務に従事させる前に確認を終えておく必要があります(法第26条第1項)。
ここでいう期限は、申請を出す期限ではなく、確認書を受け取って確認を終える期限です。交付までの日数を見込んで、早めに申請します。
やむを得ない事情による例外的な猶予(確認のいとまがない特例)
急な欠員など、法令に定める「やむを得ない事情」がある場合に限り、例外として、業務に就かせた日から3か月以内(一定の場合は6か月以内)の確認が認められています(いとま特例)。単なる人手不足や準備不足で認められるものではありません。また、確認が終わるまでの間は、その人を前科にあたる人とみなして、子どもと一対一にさせないなどの措置をとらなければなりません。
施行時および認定時の在職者への対応
義務対象事業者では施行日(令和8年12月25日)時点、認定事業者では認定日時点で働いている人(内定している人を含む)についても、確認が必要です。義務対象事業者は施行日から3年以内、認定事業者は認定を受けた日から1年以内に、対象となる全員の確認を計画的に終えます。
東京都教育委員会が進める教職員の自己申告による確認は、この法律にもとづく犯罪事実確認とは別のものです。違いは、東京都教委の自己申告確認と日本版DBSの違いもあわせてご覧ください。
定期的な再確認
一度確認を終えた人でも、確認書に記載された確認日の翌日から5年を経過する日の属する年度の末日を超えて引き続き働く場合は、改めて確認を行わなければなりません。継続して勤務するスタッフは、おおむね5年ごとに再確認することになります。
やむを得ない事情として認められる主なケース
確認を終える前に業務を始められる「やむを得ない事情」は、法令で限定されています。主なものは次のとおりです。
| 区分 | 具体例 |
|---|---|
| 急な採用 | 予見できない欠員が出た、急に増員が必要になったなど、短期間で採用して業務に就かせる必要がある場合 |
| 異動 | 事業者の責めによらない事情で、異動の内示が業務開始の直前になった場合 |
| 事業者間の契約 | 派遣契約や請負契約の締結が、事業者の責めによらない事情で遅れた場合 |
| 組織変更 | 合併・分割・事業譲渡などにより事業を引き継いだ場合 |
| 交付の遅れ | 十分な余裕をもって申請したにもかかわらず、業務開始までに確認書が交付されない場合 |
特例を使う場合は、できるだけ早く確認を行うことに加え、あらかじめ本人に特例の内容と守ることを伝えたうえで、次の3つすべてを行います。
- 原則として、子どもとその人を一対一にさせない
- 特例の趣旨と必要な措置、性暴力の防止についての研修を受講させる
- 管理職が定期的に巡回し、声をかける
犯罪事実確認の手続きの流れと本人保護
手続きは、原則としてこども家庭庁のシステム(こまもろうシステム)上で行います。従事者本人の権利に配慮した、段階的な流れになっています。
事業者の登録GビズIDを取得し、システムに事業者アカウントを作る
従事者の登録氏名とメールアドレスを登録。本人がアカウントを作る
情報の入力事業者は従事予定日など、本人は戸籍の情報を登録する
国による確認前科にあたる場合は、先に本人へ通知される
確認書の交付事業者はシステムの画面で確認する
- 交付申請:事業者は、従事予定日や業務の内容などを入力し、内定通知書や雇用契約書など、その人が対象業務に就くことが分かる書類を添付します。従事者本人は、マイナンバーカードなどで本人確認をしたうえで、戸籍の情報などを自分で登録します。戸籍の情報は、事業者を経由せず本人が提出する仕組みです。
- 照会と本人への事前通知:こども家庭庁が法務省に確認します。前科にあたるという結果が出た場合は、事業者に確認書が交付される前に、まず本人に通知されます。本人は、内容に誤りがあると考えるときは、通知を受けた日から2週間以内に訂正を請求できます。内定を辞退するなどして業務に就かないことになった場合は、手続きの中止を求めることもできます。
- 事業者による対応:事業者は、交付された確認書の内容に基づいて対応します。前科にあたることが確認された場合は、子どもと接する業務に就かせないための防止措置(配置転換など)を速やかに行います。
| 従事者の国籍 | 申請から交付までの目安 |
|---|---|
| 日本国籍 | 2週間から1か月程度 |
| 外国籍 | 1か月から2か月程度 |
確認結果への向き合い方と事業者の準備事項
確認結果が「該当なし」であっても、その人による性暴力のおそれがないと保証されるわけではありません。前科がない場合でも、日頃の言動やほかの客観的な情報から性暴力のおそれが認められるときは、状況に応じた防止措置をとる必要があります。
施行日に向けて、次の項目を中心に計画的に準備を進めてください。
- 対象となる従事者の範囲を決め、名簿を作った
- 本人に用意してもらう情報(マイナンバーカード、戸籍の情報など)を伝える手順を決めた
- 確認書を見る人と、記録の保管・廃棄のルールを決めた
- 前科にあたる人がいた場合や、おそれがある事案が起きた場合の防止措置の方針を決めた
- いま働いている人の確認期限(義務対象は3年以内、認定は1年以内)に合わせた年間の予定を作った
確認手続きの開始時期と短期従事者への対応
犯罪事実確認の申請は、その人が対象業務に就くことが決まった段階(内定や配属の決定など)で行えます。なお、座学の研修やオリエンテーションに参加しているだけで子どもと接していない期間は、法律上の「業務を行わせる」にはあたりません。
有期雇用やスポットワーク、ボランティアなどの短期の従事者でも、子どもと接する対象業務に就く以上は確認が必要です。ただし、一定の期間内に再び従事する可能性があることを双方で確認し、6か月を上限とする意向確認書面を取り交わしておけば、その期間中は確認記録を保持でき、契約のたびに確認を繰り返さずに済みます。ボランティアを受け入れるときの考え方は、こども性暴力防止法 ボランティアに対しての注意点で整理しています。
よくある質問
内定を出す前に、犯罪事実確認を行うことはできますか。
できません。確認の結果はきわめて慎重に扱うべき個人情報のため、その人が対象業務に就くことが決まった段階(内定や異動の内示のあと)で行います。
犯罪事実確認に手数料はかかりますか。
かかりません。認定を受ける事業者が支払うのは、認定申請の手数料だけです。
派遣スタッフの確認は、派遣元と派遣先のどちらが行いますか。
対象業務に就く派遣スタッフについては、派遣先の事業者が犯罪事実確認を行います。
申請から結果が届くまで、どのくらいかかりますか。
日本国籍の人は2週間から1か月程度、外国籍の人は1か月から2か月程度が目安です。この期間を見込んで、採用や配置の日程を組みます。
関連記事
※本記事の内容は、令和8年10月8日時点で公表されている、こども性暴力防止法施行ガイドライン(令和8年9月改訂)およびこども性暴力防止法に関するQ&A(令和8年9月29日改訂)に基づいています。最新の手続きや適用条件は、公式ページのガイドライン・Q&Aを確認してください。
確認できる性犯罪歴と確認できないものを、ケースごとの判定例で整理した記事もあります。日本版DBS:犯罪事実確認で確認できる性犯罪歴とはもあわせてご覧ください。
認定を受けているかどうかで、採用の場面での対応がどう変わるかは、「日本版DBS認定の有無で変わる、性犯罪歴のある求職者への対応」で整理しています。
犯罪事実確認の交付申請では、従事を証する書類として雇用契約書などを添付します。雇用契約書と労働条件通知書の違いは「雇用契約書と労働条件通知書の違い|行政書士と社労士の役割分担」で解説しています。
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