
こども性暴力防止法(日本版DBS)の認定を受けるにあたり、行政書士に相談することを考えている事業者の方は、「行政書士に頼むのは申請書類だけなのか」「認定を受けたあとは関係がなくなるのか」が気になるところだと思います。認定の手続は申請して終わりではなく、認定後にも期限のある届出や報告が続きます。
結論からお伝えすると、行政書士が関われる場面は、申請前の規程・申請書類の作成、申請と補正指示への対応だけでなく、認定後の変更届(変更する日の2週間前まで)、認定時現職者の犯罪事実確認が終わったときの完了届、年に一度の定期報告、事業をやめるときの廃止届まで続きます。ただし、交付された犯罪事実確認書の閲覧は外部に委託できないため、確認そのものは事業者が行います。
この記事では、こども性暴力防止法の認定と行政書士の関わり方を、申請前から認定後の届出までの時系列で整理します。
こども性暴力防止法の認定で行政書士が関わる場面|時系列の一覧
まず全体を一覧で示します。期限や目安は、こども家庭庁のガイドラインとQ&Aに示されたものです。
| 時期 | 手続・作業 | 期限・目安 | 行政書士が関われること |
|---|---|---|---|
| 申請前 | 対象事業の確認、規程の作成、添付書類の準備 | 申請は2026年12月25日から可能 | 当てはめの整理、対処規程・情報管理規程・申請書類の作成 |
| 申請時 | 申請書記載事項の入力と添付書類の提出、手数料の支払い | 手数料は1事業3万円 | 申請書類の提出 |
| 審査中 | 補正指示・確認への対応 | 審査は1か月から2か月程度(訂正の期間を含まない) | 補正の書類の作成、国からの問い合わせ対応 |
| 認定後(変更があるとき) | 公表事項・規程の変更届 | 変更する日の2週間前まで | 届出の要否の確認、変更届と規程の新旧対照の作成 |
| 認定日から1年以内 | 認定時現職者の犯罪事実確認と完了届 | 認定等の日から1年を経過する日まで | 期限の管理、届出の準備(閲覧は事業者) |
| 毎年 | 定期報告 | 初回は認定日から1年が経過する日の前日まで | 報告の準備の支援 |
| 事業をやめるとき | 廃止届 | 廃止年月日の2週間前まで | 廃止届の作成 |
外部に委託できる範囲の基準は、Q&A(応用編10-3)の「交付された犯罪事実確認書の閲覧以外の業務については、行政書士及び弁護士に委託することが可能です」という回答です。申請の段階で外部に任せられる作業と事業者が行う作業の分担は、認定申請代行で頼める作業と事業者が行う作業で表にしています。
申請前の準備で行政書士が担うこと
申請前の中心は、児童対象性暴力等対処規程と情報管理規程の作成、そして申請書と添付書類の準備です。添付書類には、法人であれば定款と登記事項証明書(個人は住民票の写し)、事業を行っていることを示す書類、欠格事由に該当しない旨の誓約書、役員の略歴等の書類などがあります(ガイドラインp.82〜91)。
Q&A(応用編10-3-2)では、報酬を得て官公署に提出する書類を作成できるのは行政書士・行政書士法人・弁護士・弁護士法人に限られ、認定申請に関する書類もこれに当たるとされています。規程の作成を誰に頼めるかは、情報管理規程・対処規程の作成は誰に頼めるかで詳しく説明しています。
なお、服務規律や就業規則の見直しも必要ですが、申請時の提出は不要です。就業規則の作成・変更(労働基準監督署へ届け出る書類)は社会保険労務士の業務になります。両者の分担は行政書士と社労士の違いで確認できます。
認定申請と補正指示への対応
認定申請は2026年12月25日から行うことができ、認定を受けるまでには審査などで1か月から2か月程度かかります(Q&A基礎編4-2)。この期間には、記載事項や書類に不備があり訂正を行うまでの期間は含まれません。同じ回答で、こども家庭庁から確認や訂正依頼があった場合は「速やかに対応を行っていただくよう、お願いします」とされています。
ガイドラインの申請フロー(図表14)でも、手数料の支払いのあとに「補正指示への対応」が置かれています。補正の書類を作るのは行政書士が担えますが、事業の実態についての回答は事業者でなければできません。審査中も、事業者側の担当者がすぐに連絡を受けられるようにしておくと、補正に時間がかかりにくくなります。行政書士が担う業務の範囲はこども性暴力防止法で行政書士が担う業務でも整理しています。
認定後の変更届|変更する日の2週間前までに届け出る
認定後に申請した内容を変える場合は、変更の内容によって届出が必要なものと、軽微な変更として届出が不要なものに分かれます。届出が必要な場合は、変更する日の2週間前までに届け出ます(Q&A、ガイドラインp.103〜105)。
| 区分 | Q&Aに示された例 |
|---|---|
| 届出が必要 | こども家庭庁が公表している事項(事業者の名称・所在地・代表者、事業の概要と種別、事業所の名称・所在地、従事者の業務の概要など)を変えるとき |
| 届出が必要 | 児童対象性暴力等対処規程または情報管理規程を変えるとき(軽微な変更を除く) |
| 届出が不要(軽微な変更) | 部署名・役職名の形式的な変更など、規程の内容の実質的な変更を伴わないもの |
| 届出が不要(軽微な変更) | 情報管理措置の水準を維持したまま具体的な手法だけを変えるもの、水準を上げるもの |
ガイドラインでは、変更届に変更の内容と理由を書き、規程を変える場合は変更の内容の新旧の対照を明示することとされています。公表事項を変える場合で、認定申請時の添付書類に更新があるときは、あわせて添付します。たとえば教室を移転する、事業所を増やすといった場合は、公表事項の変更として届出が必要になる可能性があるため、決まった時点で2週間前の期限から逆算して準備します。行政書士は、届出が必要かどうかの確認と、変更届や新旧対照の作成に関われます。
認定時現職者の犯罪事実確認と完了届・定期報告
認定事業者は、認定時点で働いている従事者(認定時現職者)の犯罪事実確認を、認定等の日から1年を経過する日までに行います(法第26条第3項)。全員の確認が終わったら、こまもろうシステムを通じて完了届を出します。Q&Aでは、届出に犯罪事実確認完了日、完了した認定時現職者の人数、完了した認定時現職者の一覧を記載するとされ、届出を受けたこども家庭庁は公表内容に反映します。
ここで注意したいのが、犯罪事実確認書の閲覧は外部に委託できないことです(応用編10-3)。行政書士が関われるのは、1年の期限の管理や届出の準備までで、確認書を見て結果を判断するのは事業者です。ガイドラインでは、完了届の一覧に氏名と犯罪事実確認書の文書番号を記載するとされています。この一覧を外部の専門家がどこまで扱えるかは資料では細かく示されていないため、扱いはこども家庭庁への確認が必要です。
認定時現職者とは別に、認定後に新しく従事させる人は、業務に従事させるまでに犯罪事実確認を行います(法第26条第1項)。犯罪事実確認書の標準処理期間は、日本国籍の場合2週間から1か月程度、外国籍の場合1か月から2か月程度です(Q&A基礎編6-5)。認定日から1年の期限と、採用ごとの確認が並行して進むため、期限の一覧を社内で持っておくと管理しやすくなります。
このほか、認定事業者は犯罪事実確認・安全確保措置・情報管理措置の実施状況を年に一度、こまもろうシステムで定期報告します。ガイドラインでは、初回の期限は認定日から1年が経過する日の前日とされています。また、認定を受けた事業をやめるときや認定を辞退するときは、廃止年月日の2週間前までに廃止届を出します。
まとめ|行政書士との関わりは申請後も続く
こども性暴力防止法の認定で行政書士が関われるのは、申請前の対処規程・情報管理規程と申請書類の作成、2026年12月25日以降の申請と補正指示への対応、そして認定後の届出です。認定後は、公表事項や規程の変更届(変更する日の2週間前まで)、認定等の日から1年以内の認定時現職者の確認が終わったときの完了届、年に一度の定期報告、廃止届(2週間前まで)が続きます。
どの段階でも、犯罪事実確認書の閲覧と、事業の実態についての判断は事業者に残ります。行政書士に依頼するときは、申請までで区切るのか、認定後の届出まで含めるのかを最初に決めておくと、期限のある届出を見落としにくくなります。
申請までのご依頼か、認定後の届出まで含めるかを決める前の段階でもご相談いただけます。初回のご相談は無料です。自社が対象になるかどうか、先に整える書類、着手する順序を確認できます。