こども性暴力防止法ガイドライン9月改訂のポイント|研修の受講時期・公表項目・Q&A追加問と差し替え手順

こども性暴力防止法ガイドライン9月改訂のポイント|研修の受講時期・公表項目・Q&A追加問と差し替え手順

こども家庭庁は、こども性暴力防止法施行ガイドラインを2026年9月2日付で改訂し、9月8日には「ガイドライン改訂(令和8年9月)の概要」を公表しました。9月18日にはQ&Aも改訂されています。

この記事では、改訂で「何が変わったのか」と、社内ファイルの差し替え手順をまとめ、改訂の概要に示された4つの項目と、Q&Aで追加された問を整理します。

改訂の全体像

改訂の概要で示された項目は、次の4つです。

項目 該当ページ 影響が大きい事業者
①研修受講時期の考え方の明確化 P124 すべての事業者(特に採用予定のある事業者)
②認定における事業者情報の公表項目の整理 P96 一部の児童福祉関係事業、フリースクール・こども食堂・芸能指導
③監督等指針(案)の検討を踏まえた改訂 P305〜312、P320〜323 すべての事業者(施行後の運用)
④横断指針の改訂に伴う修正 P127〜160 引用ページを参照している事業者

①研修受講時期の考え方の明確化

研修は、原則として児童等に接する業務に従事する前に受講することとされています。改訂前は、学校設置者等の施行時現職者は「原則として施行前に受講」、認定事業者等は「認定時現職者に研修を受講させていることが要件」と書かれていました。

改訂後は、施行や認定の前後に内定した人の扱いが、次のように明確化されています。

  • 学校設置者等:施行前に内定した人は、施行の前後にかかわらず、業務に従事する前に研修を受講します。施行後に業務に従事させることを決めた人は、業務に従事させるまでの間に受講すればよいとされました。
  • 認定事業者等:認定申請前に内定した人は、認定の前後にかかわらず、業務に従事する前に研修を受講します。認定申請後に内定した人も、業務に従事する前に受講することになります。

たとえば、2026年11月に内定し、2027年4月に着任する人は、4月の着任までに研修を受講することになります。実務上のポイントは、「内定」の時点で研修の予定を組むことです。春の新規採用や、年度途中の講師採用が多い事業者では、内定通知から着任までの間に研修の受講を組み込むスケジュールを用意しておくと安心です。

研修の受講対象者の範囲や、標準研修と要点研修の使い分けは「日本版DBSの標準研修は誰が受ける?」で整理しています。

②認定における事業者情報の公表項目の整理

法第22条にもとづき、認定を受けた事業者の情報は公表されます。改訂では、利用者の安全に配慮して、一部の事業で公表の範囲が絞られました。

  • 児童自立生活援助事業、子育て短期支援事業、小規模住居型児童養育事業、妊産婦等生活援助事業、児童育成支援拠点事業の5事業は、「住所又は所在地」を都道府県までの記載とします。
  • このうち小規模住居型児童養育事業と子育て短期支援事業は、事業者の氏名または名称、法人の代表者の氏名、事業所の名称も「―」と表記します。
  • 民間教育事業のうち特定事業(フリースクール、こども食堂、芸能指導)は、利用者の安全を著しく脅かすなどの場合に、こども家庭庁が必要と認めたときは、郡市区町村以下を記載しないことができるとされました。

該当する事業者は、ウェブサイトや案内で自ら公開している情報との関係も、あわせて確認しておきましょう。

③監督等指針(案)を踏まえた改訂

ガイドラインで示している「監督等の観点」と「定期報告事項」について、監督等指針(案)の検討の中で、法令に沿って適正化・具体化された事項が反映されました。施行後は年に1回、こども家庭庁への定期報告が求められます。何を報告し、どの観点で確認されるのかは、施行後の日々の記録の付け方に直結します。該当ページ(P305〜312、P320〜323)を読み、研修の実施記録や相談対応の記録を、報告に使える形で残せるかを点検してください。

④横断指針の改訂に伴う修正

ガイドラインが横断指針(児童対象性暴力等の防止等に関する横断的指針)を引用している箇所について、横断指針の改訂によってずれた引用ページが修正されました。社内規程や研修資料で、ガイドラインや横断指針のページ番号を示している場合は、あわせて見直しが必要です。

9月18日のQ&A改訂で追加された問

Q&Aでは、基礎編に6つの問が追加され、3つの問が更新されました。追加された問の要点は次のとおりです。

  • 問3-9-2:法第2条第5項各号に規定された事業に当たらない事業は、支配性・継続性・閉鎖性の3要件を満たすと考えられる場合でも、認定対象にはなりません。
  • 問4-7-2:法人格は必須ではありません。代表者または管理人の定めがあり、団体として統一的な意思決定がなされる場合に限り、団体名での申請が可能です。
  • 問5-12:認定申請前に内定した人の研修受講について取り上げています。上記①の改訂とあわせて確認してください。
  • 問6-16:施行時現職者について、分散申請の申請対象月が来る前に犯罪事実確認を行うことは可能とされています。
  • 問7-4-2・7-4-3:総合職や地方公務員の行政事務職など、さまざまな部署に配属される職種でも、採用選考の段階から誓約書で性犯罪前科の有無を確認することは可能とされています。

更新された問(5-11、6-10、6-12)は、本文を必ず原文で確認してください。

準備ガイドもあわせて更新

同じ時期に、義務対象事業者向けの「こども性暴力防止法施行準備ガイド」もVer.1.1として公表されています。準備ガイドには、法施行までに対応すべき事項のチェックリストが掲載されています。ガイドラインの改訂点を確かめたら、チェックリストに沿って、自社の準備の進み具合もあわせて点検しておくと効率的です。

今すぐ行いたい3つの点検

  1. 採用スケジュールと研修:内定から着任までの間に研修を受講できる計画になっているか。
  2. 公表される情報:認定申請を予定している場合、自社の事業区分でどの情報が公表されるか。
  3. 記録の付け方:定期報告や監督の観点に沿って、研修・相談・対応の記録を残せる様式になっているか。

社内ファイルの差し替え手順

  1. こども家庭庁の公式ページからガイドライン本文と別紙一式を再ダウンロードし、ファイル名に取得日を記録します。
  2. 変更箇所の全体像を把握するため、公式ページに掲載されている「ガイドライン改訂(令和8年9月)の概要」に先に目を通します。
  3. 社内の共有フォルダで旧版を別フォルダに移動・保管し、現行版のファイルだけを編集できるように設定します。
  4. 就業規則、採用書類、研修資料、保護者向けの説明文などに、古いひな型の表現が残っていないか検索して点検します。
  5. 拠点を置く各自治体のウェブページを確認し、地域独自の追加案内や通知が出ていないかを定期的に確かめます。

自治体の義務対象事業者向けページでも、国のガイドライン改訂に合わせて情報が更新されることがあります。複数地域に拠点がある事業所や障害児通所事業所などは、所管部署からの追加通知の有無もあわせて確認してください。

見直しが遅れやすい3つの実務項目

1. 採用関連の記載内容

募集要項、求人票、誓約書、内定通知書は、採用の各段階で候補者に示す書類です。古い文面のまま公開されている自社サイトや求人媒体がないか、優先して点検してください。内定後の犯罪事実確認や戸籍等の提出に関する説明が不足していると、採用後の行き違いにつながる可能性があります。各求人媒体の掲載文も同じ版の内容に揃えてください。

2. 情報管理規程の類型選択

情報管理規程のひな型は、閲覧人数や記録の保存方法によって複数の型に分かれています。今回更新されたひな型③のようにシステム外でも記録を保管する型を採用している場合は、管理責任者や利用権限、保存場所の規定が現行版と一致しているかを確認してください。その型を選んだ理由を簡潔なメモとして残しておくと、担当者の引き継ぎも円滑に進みます。

3. 取扱記録と本人通知の様式

取扱記録の様式案や本人通知の整理表が更新されているため、現場で管理している台帳や一覧表との間で項目のズレがないか確認が必要です。どの様式を最新の正本として運用するかを組織内で定めておくと、確認がスムーズになります。紙と電子システムを併用している場合は、どちらを原本として扱うかもあらかじめ明確にしておきます。

社内におけるファイルの版管理ルール

共有フォルダ内は「現行」と「旧版保管」の2つに整理し、現行フォルダには最新のファイルのみを置くようにします。例えば、編集権限を規程整備や人事・労務の担当者に限定し、現場への配布をPDF形式に統一することで、古い編集用ファイルが再配布される事態を防ぐことができます。月に一度など定期的に公式ページの更新日を確認し、記録しておく運用も実用的です。差し替え作業を終えた後は、何をいつどの版に改訂したかを短い記録として残し、社内で共有してください。

まとめ

今回の改訂は、制度の骨組みを変えるものではありません。しかし、研修の受講時期や公表の範囲、施行後の報告のあり方など、運用の細部が具体的になりました。施行まで3か月を切った今、自社の計画や規程が最新の考え方に沿っているかを確認しておきましょう。

日本版DBS認定運用サポートでは、社会保険労務士・行政書士・公認心理師の立場から、改訂内容の自社規程への反映や研修計画の見直しをご支援しています。

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※本記事は、2026年9月28日時点で公表されているこども家庭庁の資料にもとづいています。最新の内容は、こども家庭庁の公式ページで必ずご確認ください。

認定後の定期報告・帳簿・内部監査・認定取消しの要件は、「日本版DBSの認定維持」で整理しています。

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