日本版DBSの標準研修は誰が受ける?受講対象者の範囲と要点研修との使い分け・受講期限

日本版DBSの標準研修は誰が受ける?受講対象者の範囲と要点研修との使い分け・受講期限

日本版DBS(こども性暴力防止法)では、犯罪事実確認と並んで、従事者に研修を受講させることが事業者の義務になります。義務対象事業者は法第8条、認定を受ける民間教育保育等事業者は法第20条第1項第5号にもとづいて、研修を受講させなければなりません。この記事では、こども家庭庁の「研修の手引き」とQ&Aをもとに、誰が標準研修を受けるのか、要点研修との使い分け、いつまでに受講させるのかを整理します。

受講対象は「犯罪事実確認の対象者」と同じ範囲

研修を受講させなければならない従事者(対象従事者)の範囲は、犯罪事実確認などの措置の対象となる従事者と同じです。判断の基準は、業務の実態が次の3つの要件をすべて満たすかどうかです。

  • 支配性:こどもに対して優越的な立場にあること
  • 継続性:こどもと反復して継続的に接すること
  • 閉鎖性:第三者の目が届きにくい状況で接すること

職種の名前ではなく、業務の実態で判断する点が大切です。研修の手引きのFAQでは、次のような人も対象になりうるとされています。

  • 事務職員・用務員・バスの運転手:運転手が一人で送迎を行い、会話などを通じてこどもと接することが想定される場合や、事務職員がまれにこどもの世話をすることが業務として想定される場合
  • 短期のアルバイト・ボランティア:雇用形態や報酬の有無にかかわらず、3つの要件を満たせば対象
  • SNSやオンライン指導のみの担当者:双方向でこどもとやり取りする場合は対象になりえます(録画配信のみの場合は除く)

一方で、1日だけのゲスト講師のように、継続性がないことが明らかな場合は対象外と整理できます。また、対象従事者以外の職員にも、必要に応じて研修を受けさせることが望ましいとされています。

派遣・掛け持ち・実習生の扱い

研修を受講させる義務は、事業者ごとに課されます。そのため、立場によって次のように扱いが変わります。

  • 派遣労働者:研修を受講させる義務を負うのは派遣先です。外部の研修に参加させることもできます。
  • 別の事業者で受講済みの人:他の事業者のもとで受講していても、自社であらためて受講させる必要があります。
  • 同じ事業者の中での異動や再任用:過去に自社の管理のもとで受講させていれば、あらためて受講させる必要はありません。児童館と放課後児童クラブのように複数の事業に従事する人も、まとめて研修を実施できます。
  • 教育実習・保育実習の実習生:対象になるかどうかは、実習の実態に応じて事業者が判断します。対象外であっても、事前に研修を受けておくことが望ましいとされています。

標準研修と要点研修の使い分け

法にもとづく研修は、次のいずれかの方法で行います。

  • 標準研修:こども家庭庁の標準動画を使い、従事者が理解しておくことが望ましい標準的な内容を網羅した研修
  • 要点研修:要点動画(約17分)を使い、最低限必要な内容を網羅した研修
  • 独自研修:業界団体や事業者が独自に行う研修で、法定の研修事項を満たす座学と演習を含むもの

原則は標準研修です。特に、期間の定めのない労働者をはじめ、中長期で従事する予定の人は、こども家庭庁の教材を使う場合、標準研修を受講することが想定されています。要点研修を選べるのは、不定期・短期間で従事する人など、標準研修の受講が直ちに難しい人です。「忙しいから全員を要点研修にする」という運用は、この考え方に合いません。

なお、教員性暴力等防止法にもとづく研修などを受けている教員や保育士は、重複する内容を省略できます。ただし、少なくとも「法の概要」「犯罪事実確認において従事者に求められる内容」「防止措置の基礎的事項」「厳格な情報管理の必要性」は、標準動画などで追加して受講させる必要があります。

いつまでに受講させるか

研修は、原則として、こどもに接する業務に従事する前に受講させます。

  • 義務対象事業者の現職者:原則として、施行日(2026年12月25日)の前に受講させます。
  • 認定を受ける事業者の現職者:認定の申請時までに受講させ、申請時に受講を証する書類(年間研修計画書や事業者内の研修のお知らせなど)を提出します。
  • 内定者・新規採用者:業務に従事させるまでの間に受講させればよく、施行前や認定申請前に受講させる必要はありません。

研修は座学と演習を組み合わせて行います。座学と演習は同じ日に行う必要はありませんが、どちらも業務に従事する前に終えておく必要があります。2026年9月の改訂で整理された受講時期の考え方は「こども性暴力防止法ガイドライン9月改訂のポイント」で解説しています。

外部の研修を使う場合と、管理者向けの研修

法が求めているのは、対象従事者に研修を「受講させる」ことで、研修の実施主体は問われていません。業界団体や地域の協議会が行う外部の研修を受講させることもできます。ただし、その場合でも、対象従事者が研修を受講したことを事業者自身が確認する必要があります。受講したかどうかを本人の申告だけに任せず、受講日や受講方法を記録しておきましょう。

また、従事者全員が受ける研修とは別に、管理者や担当者が受ける研修も用意されています。法令上、管理者向けの研修は必須ではありませんが、こども家庭庁は、犯罪事実確認、防止措置、情報管理措置などについて、事業者向けの解説動画を公表しています。制度の運用を担う責任者や人事担当者は、従事者向けの研修に加えて、これらの動画で手続の詳細を確認しておくと、現場からの質問にも答えやすくなります。

まず対象者リストを作る

研修の準備は、誰が対象になるのかを決めるところから始まります。犯罪事実確認の対象者リストと研修の受講者リストを同じ基準で作っておくと、漏れや二重管理を防げます。そのうえで、一人ひとりについて標準研修か要点研修かを決め、受講の期限を書き込んでおきましょう。業種別の研修の進め方は「日本版DBSにおける従事者研修:学習塾・スポーツクラブの実務対応」もご覧ください。

対象者が決まったら、限られた時間で受講を進める方法は「日本版DBSの研修を受ける時間がないときは?」、受講後の効果測定と記録は「日本版DBS研修の効果測定」で解説しています。

まとめ

標準研修の受講対象は、職種ではなく「支配性・継続性・閉鎖性」の3要件で決まります。原則は標準研修で、要点研修は不定期・短期間の従事者などに限って使う位置づけです。施行日や認定申請から逆算して、対象者リストと受講計画を早めに固めておきましょう。

日本版DBS認定運用サポートでは、社会保険労務士・行政書士・公認心理師の立場から、対象者の整理、研修計画の作成、演習を含む職員研修の実施までを一体でご支援しています。

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※本記事は、2026年9月28日時点で公表されているこども家庭庁の資料にもとづいています。最新の内容は、こども家庭庁の公式ページで必ずご確認ください。

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