
こども性暴力防止法(日本版DBS)の認定申請について専門家に相談したいものの、「何を聞けばよいのか分からない」「まだ認定を受けるかも決めていない」という段階の事業者の方もいらっしゃると思います。相談の時間を有効に使えるかどうかは、事前に自社の事業の情報をどこまで整理できているかで変わります。
結論からお伝えすると、認定申請の相談で分かるのは、①自社の事業が認定の対象になるか、②先に整える書類は何か、③どの作業から着手するか、の3つです。このうち①の判断には、民間教育事業の5要件に当てはまるかどうかを確かめる情報が必要で、事業の内容・期間・指導形態・場所・従事者数・事業所数・既存の規程の7つを整理しておくと、相談の中で答えを出しやすくなります。
この記事では、相談前に整理する7つの情報と、それぞれが対象判断の5要件のどれに関係するのかを対応表で示します。
認定申請の相談で分かる3つのこと
相談で確認する内容は、大きく次の3つです。
- 対象になるか:こども性暴力防止法の認定は、民間教育保育等事業者が受けるものです。Q&A(基礎編3-1)では、民間教育事業(学習塾、スポーツクラブ、フリースクール等)、放課後児童クラブ、認可外保育施設などが例に挙げられています。
- 先に整える書類:申請時には児童対象性暴力等対処規程と情報管理規程の提出が必要です。服務規律や就業規則、募集要項・内定通知などの見直しも必要ですが、申請時の提出は不要とされています。
- 着手の順序:認定時点で働いている従事者は、申請時までに全員の研修の受講完了が必要です。申請は2026年12月25日から行うことができ(Q&A基礎編4-2)、そこから逆算して着手する作業を決めます。
なお、認定申請は任意です(Q&A基礎編4-8)。相談は、認定を受けるかどうかを決める前の段階でも行えます。
認定申請の相談前に整理しておく7つの情報
学習塾やスポーツクラブなど、法律上の明確な定義のない事業は「民間教育事業」として、Q&A(基礎編3-6)の(ア)〜(オ)の5要件を全て満たすかで対象かどうかが決まります。この判断と、申請の単位や準備の量を見積もるために、次の7つを整理しておきます。
- 事業の内容(誰に、何を教えているか)
- 期間(どのくらいの期間、何回行うか)
- 指導形態(対面か、オンラインか、併用か)
- 場所(どこで教えているか)
- 従事者数(教える人は何人か、雇用形態はどうか)
- 事業所数(教室・校舎はいくつか、別の種類の事業も行っているか)
- 既存の規程(就業規則、服務規律などがあるか)
放課後児童クラブや認可外保育施設は、民間教育事業とは別の区分として法律で定められているため、5要件ではなく事業の種別で対象かどうかを確認します。この場合も、6と7の情報は申請の単位と準備の量を決めるために使います。
7つの情報と民間教育事業の5要件の対応表
7つの情報が、5要件のどれに対応するかを表にまとめました。要件の細かい基準は、こども家庭庁のガイドラインに示されたものです。
| 整理する情報 | 対応する要件・論点 | ガイドライン・Q&Aの基準 |
|---|---|---|
| 1 事業の内容 | (ア)児童等に対して技芸・知識を教授すること | 児童等に教えることを目的としていることが明示されている。大人のみ対象の事業に児童等が例外的に参加するものは対象外 |
| 2 期間 | (イ)標準的な修業期間が6月以上 | 6か月以上の期間にわたって実施し、その間に複数回教え、同一の児童等が複数回参加できる |
| 3 指導形態 | (ウ)対面で指導を行う | オンラインのみは対象外。オンライン中心でも対面の指導も想定される事業は対象になり得る |
| 4 場所 | (エ)事業者が用意する場所で指導を行う | 事業者が指定した場所(児童等の自宅を除く)。児童等の自宅や保護者が指定した場所は対象外 |
| 5 従事者数 | (オ)教授を行う者が3人以上 | 雇用の有無・形態は問わず、派遣労働者やボランティアも含められる |
| 6 事業所数 | 申請の単位、(オ)の数え方 | 同一事業を複数の事業所で行う場合は1つの事業として申請。要件は事業全体で満たせばよい |
| 7 既存の規程 | 要件ではなく、準備の量 | 対処規程・情報管理規程は申請時に提出。就業規則等は見直しが必要だが提出は不要 |
5要件それぞれの考え方は、認定対象になる学習塾・スポーツクラブの5要件で詳しく説明しています。
対象判断で迷いやすい情報の整理のしかた
事業の内容:教えることが主な目的でない場合
(ア)では、児童等に技芸や知識を教えることが事業の「主たる」目的であることまでは求められていません。ガイドラインでは、こども食堂における学習支援や、芸能事務所におけるダンス指導のように、事業の中で児童等に教えている場合も対象として認めるとされています。一方、実態として児童等がおらず、受入れ予定もない事業は対象になりません。大人向けと子ども向けのクラスが混在している場合は、児童等を対象にしたクラスがあるかを分けて説明できるようにしておきます。
期間と指導形態:単発の講座やオンライン併用の場合
ガイドラインでは、7月に1回2時間、12月に1回2時間のみ、それぞれ独立した別の学習プログラムを行う場合は(イ)を満たさない例とされています。一方、夏休みのキャンプと冬休みのスキー合宿を一連のプログラムとして行い、同一の児童等が複数回参加できる場合は対象になる例です。季節講習やイベントを行っている場合は、それが独立したものか、一連のプログラムかを説明できるようにしておきます。
オンラインのみで行われる事業は要件を満たさず、認定の対象外です(Q&A応用編3-8)。オンラインと対面を併用している場合は、どのような場合に対面で指導するのかを整理しておきます。
場所と人数:講師の自宅、ボランティアの講師がいる場合
ガイドラインでは、事業者のオフィス、従事者の自宅、カフェ、公民館等の個室、公園なども「事業者が用意する場所」の例に挙げられています。家庭教師事業でも、児童等の自宅以外の場所で教える場合があれば対象です。教える人の数は、正社員だけでなく、アルバイト、業務委託、派遣、ボランティアも含めて数えます。要件は事業全体として満たせばよく、全ての事業所に3人以上いる必要はありません(Q&A応用編3-4)。
従事者の業務:教える人以外の職種
事業が対象になった場合、次に問題になるのが、どの従事者が対象になるかです。従事者の業務が支配性・継続性・閉鎖性の3要件を全て満たす場合は対象とされています(Q&A基礎編3-12)。送迎や受付、事務などの職種がある場合は、職種ごとに児童等と接する場面を書き出しておきます。判定の考え方は送迎ドライバー・事務・受付は対象かで説明しています。
事業所数と既存の規程|申請の単位と準備の量を決める情報
認定は民間教育保育等事業ごとに申請し、同じ事業者でも別の種類の事業は別々に申請します(Q&A応用編4-1)。手数料も事業ごとに3万円必要です。一方、○○塾新宿校、○○塾渋谷校のように同じ事業を複数の事業所で行う場合は、1つの事業として申請します(基礎編4-5)。フランチャイズの個人事業主の教室は、本部とは経営主体が異なるため別に申請し、従事者が3名未満の場合は認定を受けられません(応用編4-11)。教室の一覧と、それぞれの経営主体を整理しておくと、申請の数がすぐに分かります。
既存の規程は、就業規則、服務規律、個人情報の取扱いのルール、相談窓口の案内などがあるかを確認します。手元にあれば、対処規程や情報管理規程を作るときの土台になり、就業規則のどこを見直すかも具体的に話せます。申請の受付が始まる2026年12月25日までに終えておきたい作業は、12月25日までに終えることにまとめています。相談のあとの依頼の流れは、相談から申請までの5段階で説明しています。
まとめ|7つの情報で、対象・書類・着手の順序が決まる
こども性暴力防止法の認定申請の相談では、対象になるか、先に整える書類、着手の順序の3つが分かります。そのために、①事業の内容、②期間、③指導形態、④場所、⑤従事者数、⑥事業所数、⑦既存の規程を整理しておきます。
①〜⑤は民間教育事業の5要件(技芸・知識の教授、6月以上の修業期間、対面、事業者が用意する場所、教える人3人以上)に対応し、⑥は申請の単位と(オ)の数え方に、⑦は準備の量に関わります。オンラインのみの事業は対象外で、教える人の数には派遣労働者やボランティアも含まれます。迷う点は、整理した情報をもとに相談の場で一つずつ確かめていけます。
7つの情報が全てそろっていなくてもご相談いただけます。初回のご相談は無料です。自社が対象になるかどうか、先に整える書類、着手する順序を確認できます。