日本版DBSの認定対象になる?学習塾・スポーツクラブの「5つの要件」と4つの事業タイプ

日本版DBSの認定対象になる?学習塾・スポーツクラブの「5つの要件」と4つの事業タイプ

「うちの教室は日本版DBSの認定を受けられるのか」。学習塾やスポーツクラブ、音楽教室などの経営者が、最初に迷う点です。こども性暴力防止法(こども家庭庁所管)は、子どもと接するすべての事業者に同じ対応を義務づけているわけではありません。事業の種類によって、義務の対象になるのか、任意で認定を申請できるのか、そもそも対象外なのかが分かれます。

この記事では、自社の事業がどこに当てはまるかを判断するための考え方と、学習塾などが認定対象となるための「5つの要件」を整理します。

自社はどのタイプ?事業の4つのタイプ

実務では、子どもに教育・保育等を提供する事業を、次の4つのタイプに分けて考えると整理しやすくなります。

  • タイプA:義務対象事業 学校、認可保育所、認定こども園、児童福祉施設など。法律上当然に措置が義務づけられるため、認定制度の対象ではありません。
  • タイプB:法令上の定義や届出等がある認定対象事業 認可外保育施設、放課後児童クラブ、放課後子ども教室など。認定を申請すれば制度の対象になります。
  • タイプC:民間教育事業としての認定対象事業 学習塾、スポーツクラブ、ダンス教室、プログラミング教室、音楽教室、外国語教室など。後述する5つの要件をすべて満たす場合に、認定申請の対象になります。
  • タイプD:ただちに認定対象事業とならない事業 上記のいずれにも当たらない事業。現時点では認定制度の対象外です。

タイプBは、法令上の定義や届出の仕組みがあることで対象性が判断できるため、5つの要件による判定は不要です。一方、タイプCは法令上の定義がないため、事業の実態から5つの要件で判定することになります。

なお、法律では任意に認定を申請できる事業者を「民間教育保育等事業者」と定めていますが、こども家庭庁の資料では「認定対象事業(者)」という呼び方も使われています。

学習塾などが認定対象になる「5つの要件」とは?

学習塾などの民間教育事業が認定申請の対象となるには、次の5つをすべて満たす必要があります。一つでも欠けると、認定申請の対象にはなりません。

  1. 技芸・知識の教授 子どもに対して技芸や知識を教える事業であること。単なる預かりや遊び場の提供、場所の貸出しだけでは該当しません。
  2. 6か月以上の期間 6か月以上にわたり、同じ子どもが2回以上参加できる仕組みであること。単発のイベントや1回限りの体験教室は該当しません。
  3. 対面での実施 対面での指導や練習が含まれていること。オンラインのみで完結する事業は対象外ですが、オンライン中心でも対面の機会があれば要件を満たし得ます。
  4. 事業者が指定した場所 事業者が用意した教室や、手配したレンタルスペース・公民館などで行うこと。子どもの自宅など、保護者が指定する場所だけで行う事業は対象外です。
  5. 指導者3人以上 実際に子どもに技芸や知識を教える人が3人以上いること。雇用形態や肩書きではなく、実際に教えているかで判断します。

判定で迷いやすいのはどこ?

特に迷いやすいのが、5つ目の「指導者3人以上」です。受付や事務だけを担当し、実際には教えていない人は数に含めません。反対に、アルバイトの講師や業務委託の指導者でも、実際に教えていれば数に含めて考えます。

また、タイプDに当たる事業でも注意が必要です。たとえば、こども食堂で継続的に学習支援を行っているなど、事業の中で知識の教授を行っている場合は、民間教育事業として認定対象になる可能性があります。一方、食品衛生法上の営業許可のように、事業に必要な一般的な許可があるだけでは、教育・保育等の提供を目的とした法令上の許認可には当たらない点にも注意してください。

要件を満たせば、すぐに認定される?

5つの要件を満たすことは、「認定申請の対象になる」という段階にとどまります。認定を受けるには、対象となる従事者の範囲の確定、責任者の選任、情報管理措置、規程類の整備などについて、審査を受ける必要があります。

反対に、要件を満たさず認定の対象外になったとしても、子どもを守る取組みが不要になるわけではありません。子どもと1対1にならない体制づくりや、相談窓口の整備、研修の実施などは、保護者の信頼を得るうえでも大切です。

義務対象と認定対象の違い

項目 義務対象事業者 認定対象事業者
主な事業 学校、認可保育所、認定こども園、児童福祉施設、障害児通所支援など 学習塾、スポーツクラブ、音楽教室などの民間教育事業、認可外保育施設、放課後児童クラブなど
制度の対象になる時点 施行日(2026年12月25日)から当然に 申請して認定を受けたときから
現職者の確認期限 施行日から3年以内 認定を受けた日から1年以内
情報管理規程 最初の確認申請までにこども家庭庁へ届出 認定申請の書類として添付
使えるマーク 法定事業者用のこまもろうマーク 認定事業者用のこまもろうマーク

犯罪事実確認、早期把握や相談体制などの安全確保措置、研修、情報管理といった措置の中身は、どちらも基本的に共通です。違いは「どの立場で制度の対象になるか」と「期限」にあると考えると分かりやすくなります。

判断の基準は「設置者」ではなく「事業の法的な位置づけ」

Q&A(問3-2)では、公立の施設や事業でも法第2条第5項に当たれば認定対象となり、民間の事業者が行う事業でも法第2条第3項に当たれば義務対象になると説明されています。「公立だから義務」「民間だから任意」という判断はできません。

9月の改訂で加わった確認ポイント

  • 法律に列挙された事業以外は対象外(問3-9-2):支配性・継続性・閉鎖性の3要件を満たすように見えても、法第2条第5項各号の事業に当たらなければ、認定対象にはなりません。
  • 法人格のない団体(問4-7-2):法人格は必須ではありません。代表者または管理人の定めがあり、団体として統一的な意思決定がなされる場合に限り、団体名での申請が可能とされています。

学校設置者等の対象施設・事業(義務対象)

学校設置者等には、関係法令に基づく認可や指定を受けて教育・保育等を提供する施設や事業が該当します。

学校教育法関係

  • 幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校
  • 特別支援学校、高等専門学校
  • 専修学校(高等課程)

認定こども園関係

  • 幼保連携型認定こども園
  • 幼稚園型、保育所型、地方裁量型認定こども園

児童福祉法関係

  • 認可保育所、児童養護施設、乳児院、児童相談所など法令に定める施設
  • 指定障害児通所支援事業(児童発達支援、放課後等デイサービス等)
  • 家庭的保育事業等、乳児等通園支援事業(こども誰でも通園制度)

対象従事者の特定と判断の考え方

犯罪事実確認の対象となる従事者の範囲は、職種や業務の実態に応じて判断されます。教員や保育士、学習塾の講師など、職種全体が対象として定められている従事者は、勤務期間が短期であっても確認の対象となります。個別の状況を理由に「支配性・継続性・閉鎖性」の要件を当てはめて確認対象から除外することはできません。

一方、事務職員や送迎バスの運転手など、「職種の一部のみが対象となり得る職種」についてのみ、実際の業務に即して「支配性・継続性・閉鎖性」の3要件を総合的に判断します。なお、単発の行事やイベントであっても、準備段階や前後の運営を含めて子どもと直接接する形態や体制の実態に応じて判断され、一律に対象外となるわけではありません。

  • 支配性:指導や監督などを通じて、子どもに対して優越的な立場に立ち得る状況があるかを判断します。
  • 継続性:日常的・定期的な業務だけでなく、反復して子どもと接する機会があるかを実態に即して確認します。
  • 閉鎖性:他の職員や保護者の目が届かない状況や、第三者の立ち会いがない環境で子どもと接する可能性があるかを判断します。

職種の一部が対象となる場合の判断参考例

事務職員や送迎担当者などの職種について、業務実態に応じて対象を特定する際の判断参考例は以下のとおりです。これらは個別の勤務形態に照らして判断するための目安となります。

職種 対象となり得る例 対象外となり得る例
事務職員 個室や受付等で単独で子どもの見守りや対応を行うことがある場合 執務室での事務作業や電話対応に専従し、子どもと接しない場合
送迎バス運転手 添乗員や他の職員が同乗せず、単独で送迎運行を行う場合 常に添乗職員が同乗し、子どもと2人きりにならない体制である場合
調理員・用務員 食育指導や作業補助などで子どもと直接かつ単独で関わる場合 厨房内での調理作業や施設管理のみに従事し、子どもと接触しない場合

よくある質問

Q. 学習塾やスポーツクラブは日本版DBSの認定を受けられますか?

技芸・知識の教授、6か月以上の期間、対面での実施、事業者が指定した場所、指導者3人以上の5つの要件をすべて満たせば、認定申請の対象になります。

Q. オンラインだけの教室は対象になりますか?

オンラインのみで完結する事業は対象外です。オンライン中心でも対面の機会があれば、要件を満たし得ます。

Q. 「指導者3人以上」には誰を数えますか?

実際に子どもに技芸や知識を教えている人を数えます。アルバイトや業務委託の講師も、実際に教えていれば含めます。受付や事務だけを担当する人は含めません。

Q. 学校や認可保育所も認定を申請するのですか?

学校、認可保育所、認定こども園、児童福祉施設などは、法律上当然に措置が義務づけられる義務対象事業のため、認定制度の対象ではありません。

Q. 5つの要件を満たせば認定されますか?

要件を満たすと、認定申請の対象になります。対象となる従事者の範囲の確定、責任者の選任、情報管理措置、規程類の整備などについて審査を受ける必要があります。

まとめ

自社がどのタイプに当たるかは、認定申請の準備や規程整備の進め方を左右する最初の分岐点です。判定を誤ると、準備を進めた後で「そもそも対象外だった」ということにもなりかねません。まずは事業の実態を一つひとつ確認し、経営層と現場で判定結果を共有しておきましょう。

日本版DBS認定運用サポートでは、社会保険労務士・行政書士・公認心理師の立場から、認定対象の判定から認定申請、規程整備までをサポートしています。

日本版DBS 認定準備の流れ(関連記事)

  1. 認定の対象になるか確かめる(5つの要件と4つの事業タイプ)(この記事)
  2. 確認される「特定性犯罪」の範囲と期間を知る
  3. 認定申請に必要な4つの社内規程を整える
  4. 学習塾が最初に揃える実務リスト
  5. GビズIDプライムの取得と事業者情報の登録
  6. 認定申請の具体的な手続き・書類・スケジュール
  7. 認定後に使える「こまもろうマーク」
  8. 性暴力の疑いが生じたときの事情確認

対象になりそうだと分かったら、認定申請を相談する前に整理しておく7つの情報を確認してください。

まだ何も決まっていない段階でもご相談いただけます。初回のご相談は無料です。自社が対象になるかどうか、先に整える書類、着手する順序を確認できます。

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