児童対象性暴力等対処規程の作り方と現場運用のチェック要点

こども性暴力防止法(令和6年法律第69号)では、義務対象事業者や認定を受けた事業者に、児童対象性暴力等を防ぐための措置が求められます。このうち「児童対象性暴力等対処規程」は、学習塾やスポーツクラブなどの認定対象事業者が認定申請を行う際に作成・添付する文書として位置づけられています。学校や保育所、指定障害児通所支援などの義務対象事業者にこの規程自体の作成義務はありませんが、疑いが生じた際の「報告ルール」や「対応ルール」を定め、現場で適切に運用できる体制を整える必要があります。法律の施行日は令和8年12月25日です。

制度の公式情報は、こども家庭庁のこども性暴力防止法 公式ページをご確認ください。

対処規程と報告・対応ルールの役割

規程やルールは、作成すること自体が目的ではなく、事案の予防から早期発見、通報、対応、再発防止までを現場で確実に実行するための行動基準です。認定対象事業者が作成する対処規程も、義務対象・認定対象の双方が整備する報告・対応ルールも、こども家庭庁のガイドラインを基に自施設の体制や指揮命令系統に合わせて整えます。

対処規程に盛り込む主な項目例

認定対象事業者が作成する対処規程の項目例としては、主に以下のような内容が挙げられます。自社の指導形態や事業規模に合わせて必要な項目を点検してください。

  • 目的および適用範囲(対象となる子ども、従事者、委託先等の範囲)
  • 禁止される行為の定義と具体的な例示
  • 予防措置(研修計画、配置の工夫、子どもとの接触ルール、送迎時の注意点など)
  • 早期発見と相談窓口(相談・通報の受付窓口や連絡ルート)
  • 事実確認の手順、調査担当者の利害関係の確認、関係者のプライバシーへの配慮
  • 被害を受けた子どもへの支援方針と保護者対応
  • 就業規則と連携した是正措置(配置転換や業務停止など)の枠組み
  • 対応記録の作成・保管方法と、開示を求められた際の対応方針
  • 規程の管理責任者と見直しに関する取り決め

申請に必要な規程を整えたうえで、関連するマニュアルとの優先順位や参照先を明らかにし、現場で「誰が、いつ、どのような手順で動くか」が明確に伝わる体制を整えることが大切です。緊急時にすぐ参照できるよう、初動対応の流れをまとめた簡易フローチャートなどを別紙として用意しておくと実用的です。

労務管理および個人情報保護との整合性

従事者に対する事実関係の調査や配置変更、懲戒などの措置は、労働契約法や就業規則、個人情報保護法などの関係法令の枠内で行う必要があります。防止措置の必要性を理由に、適正な手続きを欠いた処分や過剰な調査を行うことはできません。

調査時の弁明機会の付与やプライバシーへの配慮をあらかじめ定めておき、事実確認の結果や相談記録を閲覧できる権限も必要最小限の担当者に限定してください。

委託先やボランティアを含めたルールの共有

事業所内で子どもと接する人材には、直接雇用の職員だけでなく、派遣職員、業務委託先のスタッフ、ボランティアなどが含まれる場合があります。契約内容や事前オリエンテーションを通じて、禁止行為の基準や報告窓口の情報を共有し、現場全体で共通の意識を持てるよう配慮してください。

事前準備における実務的なチェックポイント

運用を開始する前に、現場の手順として以下の点が整理されているかを確認することをおすすめします。これらは各事業所が実情に応じて検討する実務上のポイントです。

  • 統括責任者や相談対応者が明確に定められているか
  • 時間外や休日の相談・連絡に対応できる連絡網や代替ルートが検討されているか
  • 事実確認と並行して、警察や児童相談所など関係機関への通告要否を判断する手順があるか
  • 子どもの心身の安全確保が最優先で進められる手順になっているか
  • 配置転換や懲戒の適用根拠が就業規則と整合しているか
  • 運用の見直し時期や、研修実施の記録を残す方法が定まっているか
  • 保護者に対して取り組み内容を説明するための分かりやすい案内文があるか

今後の準備の進め方とご相談窓口

認定対象事業者における対処規程の作成や、義務対象事業者における報告・対応ルールの策定は、施行日(令和8年12月25日)に向けた重要な準備項目です。ひな型をそのまま当てはめるだけでなく、自社の施設レイアウト、勤務シフト、送迎実態などに照らして実効性のある内容に仕上げてください。事前に机上で対応手順を確認し、現場の意見を反映してください。法令・通知の更新、組織変更、事業所の追加、実際の対応で見つかった課題に応じて規程を見直し、研修や通報訓練につなげることも大切です。

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