こども性暴力防止法 送迎ドライバー・事務・受付は対象か|職種の一部が対象になる人の判定

こども性暴力防止法 送迎ドライバー・事務・受付は対象か|職種の一部が対象になる人の判定

「送迎バスの運転手さんも、性犯罪歴の確認の対象になるのでしょうか」。こども性暴力防止法(日本版DBS)の準備で、事業者から特によく受ける質問です。結論からお伝えすると、講師や保育士のように職種そのものが対象になる人とは別に、運転手、事務職員、受付、清掃員、警備員などは「職種の一部が対象になり得る」とされ、事業者が業務の実態を見て判定します。この記事では、国のガイドラインをもとに、その判定の手順を整理します。

対象かどうかは「肩書き」ではなく「業務の中身」で決まる

犯罪事実確認や研修の対象になるのは、こどもと接する業務のうち、次の3つの要件をすべて満たす業務に就く人です。

要件 ガイドラインの考え方(要点)
支配性 指導や会話などを通じて、こどもより強い立場に立つ機会がある。日々顔を合わせて会話するだけでも、大人とこどもの関係から自然に生じ得る
継続性 日常的・定期的に、または不定期でもくり返し、こどもと接する機会がある。年1回のイベントや緊急時だけなら、継続性はないと判断し得る
閉鎖性 ほかの職員や保護者がいないなど、第三者の目がない状況でこどもと接する機会がある。SNSなどオンラインでのやり取りも含む

注意したいのは閉鎖性です。国のQ&Aは、大人1人に対してこどもが2人以上いても、一対一でなくなるからといって閉鎖性がないとは判断できないとしています。第三者の目があるかどうかが基準です。

対象と判定した人には、こどもと接する業務に就く前の犯罪事実確認、研修の受講、その後の5年ごとの再確認が必要になります。対象から漏れていた人があとで見つかると、その人の確認や研修を急いで行うことになり、法律の期限に間に合わないおそれも出てきます。最初の判定を丁寧に行うことが、結果的に手間を減らします。

「職種全体が対象」と「一部が対象になり得る」

ガイドラインは、事業の種類ごとに主な職種を分類しています。民間教育事業の例は次のとおりです。

事業の例 職種全体が対象 一部が対象になり得る
学習塾、そろばん教室、英会話教室 指導員、講師 受付、清掃員、警備員など
地域スポーツクラブ、クラブチーム 講師、指導者、指導員 受付、清掃員、警備員、運営スタッフなど
音楽、書道、生花・茶道の教室 講師、トレーナー、師範など 受付、清掃員、警備員、運営スタッフなど

「職種全体が対象」の人は、事業者の判断で対象から外すことはできません。国のQ&Aは、短期間だけ働く人であっても対象になるとしています。判断が分かれるのは、表の右側の人たちです。

職種ごとの判定例

ガイドラインが示す具体例を、職種ごとにまとめます。

職種 対象になる例 対象にならない例
送迎の運転手 ほかの職員が同乗しないバスで、会話などを通じてこどもと接する。最後に降ろすこどもとは一対一になる ほかの職員の同乗が前提で、第三者のいない状況でこどもと接することがほとんどない
事務職員 保護者面談の間、別室でこどもの面倒を見るなど、例外的な場面でもこどもと接することが業務として想定される 電話対応や書類整理に限られ、こどもとの接触がほとんどない
受付 日常の対応の中で、ほかの職員がいない状況でこどもと会話などをする 人の行き来が多い場所で、来客や電話の対応だけを行う
清掃員 教室などが開いている時間に、ほかの職員がいない状況でこどもと接する機会がある こどもがいない時間帯に清掃する
警備員 職員の目が届かない場所も含めて施設内を日常的に巡回し、こどもと会話などをする 人通りの多い門や施設外の警備だけで、こどもとの接触がほとんどない
看護師 日常的に健康管理を行い、体調不良のときに別室で一対一になる 緊急時の応急対応だけで、ほかの職員が同席する

同じ肩書きでも、働き方によって結論が変わる点がポイントです。

判定に迷いやすい場面

本来の業務ではないが、一対一になることがある

国のQ&Aは、事務職員が忘れ物の対応などでこどもと一対一になり得る場合について、業務として通常そうなる可能性があるなら閉鎖性を満たすとしています。「本来の仕事ではないから」と考えず、実際に起きている場面を書き出して判定しましょう。

1回は1日だけだが、年に何度か来てもらう

キャンプや合宿で、外部の人に1日ずつ指導を頼む場合でも、年間を通じて何度か来てもらうなら継続性を満たし得るとされています。一方、年1回だけのイベント講師は、継続性がないと判断し得ます。

送迎を外部に任せている

国のQ&Aには、私立学校のスクールバスの運行を保護者組織に委託していても、学校の事業の一環として行われているなら、運転手の確認は学校法人が行うとした例があります。誰が雇っているかだけでなく、誰の事業として行っているかを確認しましょう。

年に何度か来る外部の専門家や業者

嘱託医について国のQ&Aは、対象となる事業所やこどもが異なる場合には、複数の施設への訪問回数を合算して判断する必要はないとしています。ガイドラインの例でも、年1回の定期健診だけで常に職員が同席する医師は対象外、施設内の診察室で年に何度か個別の診察や健康相談を行い、職員が同席しない状況が生じ得る医師は対象とされています。

行事の撮影に来る写真業者についても、国のQ&Aは3要件で判断するとしています。職員や保護者がいない状況でこどもと接する機会が想定されなければ、対象外です。

雇用形態は関係ない

3要件を満たす業務に就くなら、正社員かアルバイトか、派遣か業務委託か、ボランティアかは問いません。派遣で来ている人の犯罪事実確認は、派遣元ではなく、実際に働いてもらう派遣先の事業者が行います。「うちが雇っている人ではないから」と一覧から外さないように注意しましょう。

また、勤務期間の短さによる例外もありません。ガイドラインは、1日や数日だけ働く人やスポットワークの人も、業務の内容が当てはまる限り対象になるとしています。

判定の手順と記録の残し方

判定は、次の手順で進めると整理しやすくなります。

  1. こどもと関わる可能性のある人を、雇用形態を問わず一覧にする(派遣、業務委託、ボランティアも含む)
  2. 一人ずつ、実際の業務の中でこどもとどう接するかを書き出す
  3. 支配性・継続性・閉鎖性の3つを一つずつ確かめ、結論と理由を記録する
  4. 対象になる人を就業規則などに「対象業務従事者の範囲」として定め、本人に伝える
  5. 担当業務が変わったら、もう一度判定する

記録は、次のような一覧にしておくと、監督の場面や担当者が替わったときにも説明しやすくなります。

氏名・職種 こどもとの接し方 支配性 継続性 閉鎖性 結論
送迎担当Aさん 週5日、一人で送迎車を運転。最後のこどもと一対一になる あり あり あり 対象
事務担当Bさん 電話と書類の業務のみ。こどもと話す場面はない なし なし なし 対象外
清掃担当Cさん 授業のない午前中だけ清掃する なし なし なし 対象外(時間帯が変わったら再判定)

ガイドラインは、3要件を満たす人を確実に対象とするよう求めています。迷ったときに対象から外す方向で判断するのは避けましょう。ボランティアの判定は「ボランティアに対しての注意点」でも解説しています。

「対象にしない」なら、業務の形を変える

逆に、業務の形を変えることで閉鎖性をなくすという選択肢もあります。たとえば送迎は必ず職員が同乗する、受付は人目のある場所だけで対応する、清掃はこどもがいない時間に行う、といった方法です。ただし、決めたルールが守られなければ判定の前提が崩れます。運用が続けられるかどうかも含めて検討してください。

よくある質問

事務職員しかいない時間帯に、こどもが来ることがあります。

その時間に事務職員がこどもと一対一で対応することが業務として想定されるなら、対象になる可能性が高いです。対象にしない場合は、その時間帯にこどもが一人で残らない仕組みをつくる必要があります。

対象外と判定した人には、何もしなくてよいですか?

犯罪事実確認や法律に基づく研修の対象にはなりません。ただし、こどもへの性暴力を防ぐルールは職場全体で守るものです。こどもと二人きりにならない、私的な連絡先を交換しないといった基本のルールは、対象外の人にも伝えておくことをおすすめします。

学習塾の「教える人が3人以上」には、事務職員も数えますか?

認定の対象になる要件の「技芸または知識の教授を行う者」は、講師や指導員という職名に限られません。実際に教えている人であれば数えます。ボランティアや派遣の人も含めることができます。

日本版DBS認定運用サポートでは、職員一覧をもとにした対象者の判定と、判定理由の記録づくり、就業規則への反映をサポートしています。

対象になる職種を整理したら、認定申請の相談前にまとめておく7つの情報もあわせてご確認ください。

まだ何も決まっていない段階でもご相談いただけます。初回のご相談は無料です。自社が対象になるかどうか、先に整える書類、着手する順序を確認できます。

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