こまもろうマークの先にある実務|従事者リスト・メール・戸籍・情報管理規程の準備

こまもろうマークの先にある実務|従事者リスト・メール・戸籍・情報管理規程の準備

日本版DBSの事業者マーク「こまもろうマーク」の認知が広がっています。制度の周知が進むのは歓迎すべきことですが、事業者にとっての本番は、マークの先にある実務です。施行日の2026年12月25日以降、犯罪事実確認は「こまもろうシステム」を通じて、事業者と従事者の双方が手続を行う形で進みます。

この記事では、こども家庭庁が公表した「こまもろうシステム 従事者向けマニュアル(素案)」(2026年8月25日時点)をもとに、従事者リスト、メールでの依頼、戸籍の準備、情報管理規程という4つの実務を整理します。素案は施行までに内容が変更される場合があるため、最新版を必ず確認してください。

1.従事者リスト:だれに依頼するかを確定する

手続の出発点は、犯罪事実確認の対象となる従事者の確定です。支配性・継続性・閉鎖性の3要件から対象業務従事者の範囲を決め、氏名と連絡先を整理します。施行時にすでに働いている現職者の確認期限は、義務対象事業者は施行日から3年以内、認定事業者は認定を受けた日から1年以内です。人数が多い事業者は、Q&Aで示されている分散申請も見据えて、だれをいつ申請するかの計画を立てておきます。

2.メール:従事者のアドレスを把握しておく

素案によると、手続が始まると、従事者には「こまもろうシステムのアカウント登録の依頼」という件名のメールが届きます。事業者は、そのための従事者のメールアドレスを把握しておく必要があります。

  • 業務用のアドレスがない従事者の連絡先をどう集めるか
  • 迷惑メールに振り分けられた場合の案内をどうするか
  • メールが届いたら何をすればよいかを、事前にどう説明するか

見覚えのない件名のメールは、開かれないまま放置されることがあります。事前の周知が、手続の遅れを防ぎます。

3.戸籍:従事者本人が準備するもの

従事者はシステムにログインし、本人を特定するための情報を提出します。素案では、ログインにはマイナンバーカードの利用が推奨され、カードがない場合は別の本人確認書類をアップロードする方法も示されています。

  • 日本国籍の場合:マイナンバーカードを使って戸籍情報を取得する方法が推奨されています。市区町村の窓口で戸籍謄本と「戸籍電子証明書提供用識別符号」を取得する方法もあります。識別符号の有効期限は3か月、戸籍謄本は事業者が交付を申請した日から6か月以内に発行されたものが必要です。
  • 外国籍の場合:旅券などの本人を特定する書類が必要です。
  • 本籍・氏名の履歴:出生から現在までの戸籍の情報を登録し、氏名や本籍が変わっている場合は、その日付と理由も入力します。

婚姻や転籍で戸籍が複数ある従事者は、書類の準備に時間がかかることがあります。取得の方法と期限を、早めに案内しておきましょう。

4.情報管理規程:届いた結果を守る仕組み

確認書が事業者に交付されると、従事者もシステム上の通知でそのことを確認できます。事業者に届いた確認書と記録を、だれが、どこで、どのように扱うかを定めるのが情報管理規程です。こども家庭庁は、取り扱う人数と記録の方法に応じて3種類のひな型を示しており、ひな型③は2026年9月2日付で更新されています。自社がどの型を選ぶか、その理由とあわせて記録しておくと、担当者が交代しても運用がぶれにくくなります。情報管理の義務と罰則については「犯罪事実確認記録の情報管理措置と5つの義務」で解説しています。

マークは「体制を整えた」ことのしるし

こまもろうマークは、法にもとづく体制を整えていることを示すものであり、事案が起きないことを保証するものではありません。Q&Aでは、マークは認定を受けた後から使用でき、配布後に回収が難しいペンやクリアファイルなどの広告用品には付けられないとされています。マークについては「こまもろうマークとは?」もご覧ください。

まとめ

従事者リスト、メール、戸籍、情報管理規程は、どれも施行日を迎えてから準備を始めると、確認の期限に追われることになります。システムの手続を従事者の目線でたどり、どこでつまずきそうかを今のうちに洗い出しておきましょう。

日本版DBS認定運用サポートでは、社会保険労務士・行政書士・公認心理師の立場から、従事者への説明資料の作成や情報管理規程の整備をご支援しています。

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※本記事は、2026年9月28日時点で公表されているこども家庭庁の資料にもとづいています。最新の内容は、こども家庭庁の公式ページで必ずご確認ください。

従事者への案内文とFAQを、施行前に用意しておく

こまもろうシステムの手続きは、従事者本人が自分でログインし、情報を入力して進める場面があります。事業者が準備を整えていても、従事者が「何をどうすればよいのか」わからなければ、手続きは止まってしまいます。そこで、施行前に従事者向けの案内文とFAQを用意しておくことをおすすめします。

案内文に入れておきたい項目

  • なぜこの手続きが必要なのか(子どもを守るための制度であること)
  • だれが対象になるのか
  • 本人が用意するものと、事業者が用意するもの
  • いつまでに何をすればよいのか
  • わからないときの連絡先(担当者の名前と連絡方法)

従事者から出やすい質問の例

案内を出すと、次のような質問が寄せられることが考えられます。あらかじめ答えを用意しておくと、現場の混乱を防げます。

  • 提出した情報は、だれが見るのか。
  • 確認の結果は、職場でどのように扱われるのか。
  • 手続きに協力できない場合は、どうなるのか。
  • 働きながら、いつ手続きをすればよいのか。

とくに、個人情報の扱いは、従事者が最も不安に感じやすい点です。確認書を見られる人を限定していること、目的以外には使わないことなど、情報管理規程で定める内容を、わかりやすい言葉で伝えることが信頼につながります。手続きへの協力の扱いは、就業規則の定めともつながるため、社会保険労務士と一緒に整合をとっておくと安心です。なお、就業規則と、情報管理規程などの認定申請で必要な規程との違いは、スタッフが10人未満の場合の就業規則の記事でも説明しています。

案内文とFAQは、一度作って終わりではありません。従事者から出た質問を集めて、内容を少しずつ更新していくことで、現場に合った説明になっていきます。なお、システムの画面や手順は、こども家庭庁が公表する最新のマニュアルで確認してください。

案内のタイミングと伝え方

案内は、手続きが始まる直前ではなく、余裕を持って早めに出すことが大切です。戸籍の準備に時間がかかる従事者もいるため、先に予告をして、準備を始めてもらう方法もあります。あわせて、説明会を開いて質問を受けつけたり、個別に相談できる時間を設けたりすると、従事者の不安をやわらげられます。とくに、パートやアルバイトの人、外国籍の人には、その人に合った言葉や方法で伝える配慮が必要です。

従事者の不安に、事業者が丁寧に向き合う姿勢を示すことが、手続きを円滑に進める一番の近道になります。

案内を受けた従事者が、安心して手続きを進められるかどうかは、事業者がどれだけ具体的に準備したかにかかっています。手順を紙一枚にまとめて渡す、質問を受け付ける日を決めておくなど、小さな工夫を積み重ねてください。

犯罪事実確認記録の管理・廃棄・漏えい時の対応は、「日本版DBSの情報管理措置」で整理しています。

まだ何も決まっていない段階でもご相談いただけます。初回のご相談は無料です。自社が対象になるかどうか、先に整える書類、着手する順番を確認できます。

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