こども性暴力防止法では、犯罪事実確認により得られた情報は極めて機微な個人情報であるとして、事業者に厳格な情報管理措置を義務づけています。本ページでは、情報管理の法的要件と実務上の対策を解説します。
情報管理措置の法的根拠
情報管理措置は、認定基準の一つとして位置づけられています(法第20条第1項第6号)。また、認定事業者等には犯罪事実確認記録等を適正に管理する義務があります(法第27条第1項)。
情報管理体制の基本要件
規則第12条第1項に基づき、以下の3つの要件を満たす必要があります。
- 管理責任者の設置:犯罪事実確認記録等の管理に関する責任者を選任する
- 情報管理規程の策定・遵守:管理に必要な事項を定めた規程を策定し、これを遵守する
- 従事者2名以上の確保(民間教育保育等事業者の場合):その事業に従事する人を2名以上置くこと。情報管理だけを担当する人が2名必要という意味ではありません(こども家庭庁Q&A 基礎編8-2)
情報管理規程に定めるべき事項
基本的事項
- 犯罪事実確認記録等の取扱者を必要最小限の者に限定する
- 記録・保存は極力避け、必要最小限にとどめる
- リスクに応じた適切な措置を講じる
組織的安全管理措置
- 情報管理の組織体制の整備(管理責任者、取扱者の明確化)
- 情報管理規程の遵守状況の確認体制
- 犯罪事実確認記録等の取扱記録の作成
- 漏えい等発生時の対応体制の整備
人的安全管理措置
- 取扱者の着任時および定期的な研修の実施
- 就業規則における秘密保持義務の規定
- 取扱者の退職時の守秘義務の確認
物理的安全管理措置
- 犯罪事実確認記録等を取り扱う区域の管理(施錠、入退室管理等)
- 盗難防止措置(書類の施錠保管等)
- 復元不可能な方法による廃棄(シュレッダー処理、データ完全消去等)
技術的安全管理措置
- アクセス制御(取扱者のみがアクセスできる設定)
- 多要素認証の導入
- 不正アクセス防止措置(ファイアウォール、ウイルス対策等)
- 通信経路の暗号化
禁止事項と罰則
目的外利用・第三者提供の禁止
犯罪事実確認記録等は、犯罪事実確認および防止措置の目的以外に利用してはなりません。また、法律で定められた例外(裁判手続、刑事捜査対応等)を除き、第三者への提供は禁止されています(法第12条)。
罰則
- 不正目的での情報提供:2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(法第43条)
- 情報の漏示等:1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金(法第45条第2項)
記録の廃棄・消去
犯罪事実確認記録等は、不要となった場合に速やかに廃棄・消去しなければなりません(法第38条)。
- 廃棄期限:事由発生(離職等)から30日以内
- 廃棄方法:復元不可能な方法(紙はシュレッダー、電子データは完全消去ソフト使用)
- 廃棄記録:いつ、誰が、何を、どの方法で廃棄したかを記録する
漏えい等発生時の対応
犯罪事実確認記録等の漏えいが発生した場合は、こども家庭庁に直ちに報告する義務があります(法第13条)。速報は事態を知ってから3〜5日以内が目安で、確報は30日以内(不正の目的による漏えい等は60日以内)に行います(規則第14条、こども家庭庁Q&A 基礎編8-8)。報告内容には、漏えいの概要、原因、影響範囲、講じた措置と再発防止策を含めます。
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根拠資料
- こども家庭庁「こども性暴力防止法」条文
- こども家庭庁「こども性暴力防止法施行規則」(令和8年8月5日掲載版)
- こども家庭庁「こども性暴力防止法施行ガイドライン」(令和8年9月2日改訂版)
- こども家庭庁「こども性暴力防止法に関するQ&A」(令和8年9月29日改訂版)
- こども家庭庁「こども性暴力防止法」制度ページ
執筆・内容確認:田中義人(社会保険労務士・行政書士・公認心理師)
内容確認日:2026年10月13日(上記資料の最新版と照合)