
日本版DBSの認定を受けるには、こども家庭庁への申請に向けて、アカウントの取得、書類の作成、規程の整備など、いくつもの手続きを順番に進める必要があります。このうち、官公署に提出する書類の作成や提出の手続きを専門とするのが行政書士です。この記事では、準備から認定後までの流れに沿って、行政書士が担う業務と、ほかの専門家に任せるべき業務を整理します。
行政書士と社労士の役割分担そのものについては、「日本版DBS対応の行政書士と社労士の違い」で詳しく解説しています。
行政書士が担える業務の根拠
行政書士は、官公署に提出する書類や、契約書などの権利義務に関する書類の作成を業務としています(行政書士法1条の2)。また、官公署に提出する書類の提出手続きを代理することもできます(同法1条の3)。行政書士でない者が報酬を得てこれらの書類を作成することは制限されており、2026年1月1日に施行された改正法では、「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という文言が加わりました。コンサルティング料などの名目でも、行政書士以外の者が申請書類を作成することには注意が必要です。
準備段階:こまもろうシステムを使える状態にする
認定申請は、こども家庭庁の「こまもろうシステム」を使ってオンラインで行います。システムを利用するには、事業者としてGビズIDプライムを取得し、事業者情報を登録しておく必要があります。行政書士は、取得の手順や必要な書類を案内し、つまずきやすい点を先回りして確認します。手順の詳細は「GビズIDプライム取得とこまもろう事業者情報登録の準備手順」をご覧ください。
あわせて、定款の事業目的と実際に行っている事業が合っているか、登記している役員の情報が最新かといった基本事項も確認しておくと、申請の段階で慌てずにすみます。
申請段階:申請書類と添付書類をそろえる
認定申請の受付は、2026年12月25日から始まります。行政書士は、認定の対象となる事業の範囲を確かめたうえで、申請書の作成と、添付する規程類の準備を支援します。認定では、規程に定めた措置を実際に行える体制が整っていることが求められます。そのため、児童対象性暴力等対処規程や情報管理規程などは、ひな型を埋めるだけでなく、事業所の人数や記録の管理方法に合った内容にしておくことが大切です。
システム上でどこまでを代理人として手続きできるかは、こども家庭庁の最新の案内を確認しながら進めます。
認定後:期限のある手続きを管理する
認定を受けた後も手続きは続きます。認定の時点で働いている従事者の犯罪事実確認は、認定から1年以内に行う必要があり、確認が完了したら届出を行います。その後も、年に1回の定期報告が必要です。行政書士は、これらの期限と提出書類を一覧にして管理し、提出漏れを防ぎます。
また、外部の委託先や派遣労働者が子どもと接する業務を担う場合には、業務委託契約書や派遣契約書に、守ってほしい行動の基準や情報の取扱いを書き加える必要があります。こうした契約書類の見直しも、行政書士が担える業務です。
行政書士だけでは対応できないこと
- 就業規則の作成・変更:社会保険労務士の業務です。服務規律や懲戒、配置転換などの定めは社労士が担当します。
- 従事者本人が行う手続き:犯罪事実確認では、従事者本人が戸籍情報などを提出する手続きがあります。行政書士が本人に代わって行うものではありません。
- 個別の紛争:性暴力の疑いをめぐって処分や損害賠償が争いになった場合は、弁護士への相談が必要です。
まとめ
日本版DBSで行政書士が担うのは、こまもろうシステムの準備、認定申請書類の作成、認定後の届出の管理、そして契約書類の見直しです。一方で、就業規則や紛争への対応は、それぞれの専門家の業務になります。依頼する前に、誰がどこまでを担当するのかを確認しておくと、準備を滞りなく進められます。
日本版DBS認定運用サポートでは、社会保険労務士・行政書士・公認心理師の立場から、認定申請の書類作成から就業規則の見直し、職員研修までを一体でご支援しています。
ご相談は、お問い合わせフォームからどうぞ。
※本記事は、2026年9月28日時点で公表されているこども家庭庁の資料にもとづいています。最新の内容は、こども家庭庁の公式ページで必ずご確認ください。
相談前に用意しておくとよい資料と、認定を受けるかどうかの考え方
認定申請の準備は、書類を集める作業から始まります。行政書士に相談する前に、次のような資料を手元にそろえておくと、申請までの道筋を早く描くことができます。
- 定款(法人の場合)と、登記事項証明書
- 事業の内容がわかる資料(パンフレット、募集案内、利用規約など)
- 子どもと接する業務を行う施設や教室の一覧
- 子どもと接する業務に就く人の職種と人数がわかる資料
- 現在使っている規程類(就業規則、個人情報の取扱いに関する規程など)
- こまもろうシステムやGビズIDの手続きを担当する人の名前
認定を受けるかどうかは、事業の種類によって考え方が変わります
学校や保育所などは、制度上、犯罪事実確認などの対応が求められる事業者です。一方、学習塾や習い事などは、認定を受けるかどうかを事業者が選べる仕組みになっています。認定を受けない場合でも、子どもの安全を守る取り組みそのものは大切ですが、認定事業者として公表される、こまもろうマークを使えるといった、認定を受けた場合の扱いは受けられません。
認定を受けるかどうかは、保護者に対して何を約束したいのか、どこまでの体制を継続して運用できるのかを見きわめて決めることになります。認定後は、従事者の確認や研修、情報管理、記録の保管などを続けていく必要があるため、申請の手間だけでなく、認定後の運用の負担も含めて検討しておくことが大切です。
複数の施設がある場合の整理
教室や施設が複数ある事業者は、どの施設が認定の対象になるのか、施設ごとに責任者を置くのか、従事者の異動があった場合にどう管理するのかを、あらかじめ整理しておく必要があります。申請書類の作成に入る前に、事業の全体像を一枚の図や表にしておくと、書類の抜けや食い違いを減らせます。
なお、手続きの扱いはこども家庭庁の案内が更新されることがあります。申請の前には、最新の公式資料を確認してください。
相談の進め方のイメージ
最初の相談では、事業の内容と体制をうかがい、認定を目指すのか、どの施設を対象にするのかを一緒に整理します。そのうえで、必要な書類と担当者を確認し、こまもろうシステムの準備、申請書類の作成、認定後の届出の管理という順に進めていきます。就業規則の変更が必要な場合は、社会保険労務士と連携して進めます。
まずは、上の資料のうち手元にあるものだけでも構いません。足りない資料は、相談のなかで一緒に確認していきます。
まだ何も決まっていない段階でもご相談いただけます。初回のご相談は無料です。自社が対象になるかどうか、先に整える書類、着手する順番を確認できます。