日本版DBS|犯罪事実確認記録の情報管理措置と5つの義務

日本版DBS|犯罪事実確認記録の情報管理措置と5つの義務

こども性暴力防止法(日本版DBS)に基づく犯罪事実確認では、従事者に特定の性犯罪の前科があるかどうかという、きわめて慎重に扱うべき情報を取り扱います。万が一これらの情報が漏えいした場合、本人の権利利益を著しく害するだけでなく、制度全体への信頼を損なうおそれがあります。そのため法律は、事業者に「犯罪事実確認記録等」の適正な管理を求め、違反には罰則を設けています。この記事では、施行ガイドライン(令和8年9月改訂)とQ&A(令和8年9月29日改訂)をもとに、事業者が守る5つのことを図表で整理します。(出典:こども家庭庁「こども性暴力防止法・ガイドライン」)

この記事の要点
  • 管理の対象は、犯罪事実確認書と、その内容を写した記録です。
  • 責任者を決め、情報管理規程を作り、そのとおりに運用します。
  • 確認と防止措置以外の目的で使うこと、第三者に渡すことは禁止されており、罰則があります。
  • 漏えいなどが起きたら、3〜5日以内を目安に速報し、30日以内に確報します。
  • 記録は、決められた日から30日以内に廃棄・消去します。

犯罪事実確認記録等に含まれる情報の範囲

管理の対象になる「犯罪事実確認記録等」は、次の2つです。

種類 内容
犯罪事実確認書 こども家庭庁から事業者に、従事者ごとに交付される書面。特定性犯罪の前科にあたるかどうかが記載されています。
犯罪事実確認記録 確認書に書かれた内容を、ほかの書面や電子データに写したもの。「黒」「白」のような記号や略号で前科の有無を直接示すものも含みます。

※「確認を実施済みかどうか」だけを記録したものは、犯罪事実確認記録にはあたりません。

事業者に求められる5つの情報管理措置

ガイドラインは、情報を適正に管理するため、対象事業者に次の5つを求めています。これらはこども性暴力防止法の概要で示される重要な取組です。

図1 情報管理の5つの柱
1

管理と規程責任者を決め、情報管理規程を作って守る

2

使い道の制限目的外の利用と第三者への提供はしない

3

漏えい時の報告速報と確報の2段階で報告する

4

廃棄・消去決められた日から30日以内に消す

5

関連情報の扱い面談などで得た情報も厳格に管理する

① 犯罪事実確認記録等の適正な管理と規程策定

事業者は、犯罪事実確認記録等を適正に管理しなければなりません(法第14条)。具体的には、管理責任者を置き、「情報管理規程」を作り、そのとおりに運用することが必要です(法第11条、規則第12条)。認定を受ける民間の事業者は、その事業に従事する人が2人以上いることも要件です。

情報管理規程には、次の5つの内容を盛り込みます。

区分 主な内容
基本的事項 取り扱う人を必要最小限にする、確認書の内容の記録・保存をできるだけ避ける、組織の長が点検と改善を行う、など
組織的情報管理措置 組織として適切に取り扱うための体制づくり(責任者、漏えい時の報告の流れなど)
人的情報管理措置 取り扱う人への研修・訓練
物理的情報管理措置 権限のない人が物理的に近づけないようにする(取扱区域の制限、機器の盗難防止など)
技術的情報管理措置 情報システムへの不正アクセスなどを防ぐ(アクセス権限の管理など)

それぞれの措置には、すべての事業者に求められる「最低限求められる措置」と、できる限り満たすよう努める「標準的措置」があります。

こども家庭庁は、運用のしかたに応じた3種類のひな型を公表しています。確認書を見る人数と、システムの外に記録を残すかどうかで選びます。ひな型の入手先は「こども家庭庁ひな型リンク集を事業者はどう使うか」で紹介しています。

ひな型 確認書を見る人 システムの外への記録・保存
ひな型① 責任者1人だけ しない
ひな型② 責任者を含む複数人 しない
ひな型③ 責任者を含む複数人 する

② 目的外利用・第三者提供の禁止と罰則

犯罪事実確認記録等は、法に基づく犯罪事実確認や防止措置の実施以外の目的で利用すること、第三者に提供することが禁止されています(法第12条)。裁判所の手続や捜査のために提供する場合、国の報告徴収や立入検査に応じる場合などは例外です。違反には、次の罰則があります。

違反の内容 罰則
自分や第三者の不正な利益を図る目的で、確認書の情報を提供する(法第43条) 2年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、または両方
業務で知った確認書の情報を、みだりに他人に知らせる、不当な目的に使う(法第39条・第45条第2項) 1年以下の拘禁刑もしくは50万円以下の罰金、または両方
期限までに記録を廃棄・消去しない(法第38条) 50万円以下の罰金

③ 漏えい等が発生した場合のこども家庭庁への報告

記録の漏えいなどが生じた場合、事業者は直ちにこども家庭庁へ報告しなければなりません(法第13条)。報告が必要になるのは、次のような事態です。

  • 犯罪事実確認記録等の漏えい、滅失、毀損が発生した、またはそのおそれがある事態
  • 法令に違反して記録が第三者に提供された、またはそのおそれがある事態
  • 防止措置の過程で本人から得た、前科に関する詳しい情報(特定性犯罪事実関連情報)の漏えい等が発生した、またはそのおそれがある事態

報告は2段階で行います。

段階 期限 報告する内容
速報 知った後、直ちに(目安は知った日から3〜5日以内) その時点で把握していること
確報 知った日から30日以内(不正の目的によるおそれがある場合は60日以内) 漏えいした項目、人数、原因、再発防止策など

前科が「ある」と記載された記録や、本人から得た詳しい情報が漏えいした場合は、本人への通知も必要です。

④ 法定期限に基づく記録の廃棄・消去

事業者は、法第38条の定めに従い、次のそれぞれの日から30日以内に、記録を廃棄・消去しなければなりません。こまもろうシステム上の記録は、自動で廃棄される仕組みになっています。

場面 起算する日
確認から5年がたったとき 確認日から5年を経過した日の属する年度の末日
採用・任命に至らなかったとき 申請時に記載した従事予定日
従事者が離職したとき 離職した日
事業者が対象事業者でなくなったとき 対象事業者でなくなった日

⑤ 関連する機微情報の慎重な取り扱い

防止措置を行う過程で本人から得た情報や、子どもからの相談・聴き取りの記録などは、犯罪事実確認記録等そのものではありません。それでも、個人の名誉やプライバシーに深く関わるため、記録等に準じた厳格な管理が求められます。

  • 必要最小限の人数で取り扱う
  • 管理された区域やフォルダで保管する
  • 漏えい時の報告の流れを、あらかじめ決めておく
  • 不必要な紙や電子ファイルを作らない。USBメモリなど紛失しやすい媒体への保存は避ける
  • 不要になったら、元に戻せない形で速やかに消去する

子どもの画像データと確認記録の明確な分離管理

日常の教育・保育業務の中で記録・保管される「子どもの写真や動画データ」と、法に基づく「犯罪事実確認記録等」は、目的や法的根拠、管理手順が全く異なる情報です。これらが混同されて保管・管理されることのないよう、それぞれの保存場所とアクセス権限を適切に設定してください。

なお、子どもと接する現場における不適切な撮影や私用スマートフォンへの画像保存を制限する服務規律の徹底も、未然防止の観点から重要となります。

情報管理規程の提出手続きと実務の基本原則

事業者の区分によって、規程を提出する時期が異なります。

事業者の区分 提出の時期と方法
義務対象事業者(学校、認可保育所など。国公立を除く) 1人目の従事者の犯罪事実確認までに、こまもろうシステムから提出します。
認定対象事業者(学習塾、スポーツクラブなど) 認定申請の手続きで、添付書類の一つとして提出します。認定後に規程を変えるときは、変更する日の2週間前までに届け出ます(軽微な変更を除く)。

日常の運用では、情報を取り扱う担当者を必要最小限に絞り、私用端末を業務に使わないことをおすすめします。また、システム上での確認を原則とし、外部の記録媒体や紙に写す運用をできるだけ避けることで、漏えいのリスクを抑えられます。

よくある質問

「確認を済ませたかどうか」をまとめた一覧表も、犯罪事実確認記録にあたりますか。

あたりません。犯罪事実確認記録は、犯罪事実確認書に書かれた内容を写したものを指します。確認を実施済みかどうかだけの記録は含まれません。ただし、「黒」「白」のように前科の有無を直接示す書き方をすると、記録にあたります。

漏えいが起きたら、いつまでに報告しますか。

まず、知った日から3〜5日以内を目安に、その時点で分かっていることをこども家庭庁に報告します(速報)。そのうえで、知った日から30日以内に、原因や再発防止策などを報告します(確報)。不正の目的によるおそれがある場合の確報は60日以内です。

記録はいつ消せばよいですか。

確認日から5年がたった日の属する年度の末日、従事者が離職した日などから、30日以内に廃棄・消去します。こまもろうシステム上の記録は、自動で廃棄される仕組みになっています。

※本記事の内容は、令和8年10月8日時点で公表されている、こども性暴力防止法施行ガイドライン(令和8年9月改訂)およびこども性暴力防止法に関するQ&A(令和8年9月29日改訂)に基づいています。

確認できる性犯罪歴と確認できないものを、ケースごとの判定例で整理した記事もあります。日本版DBS:犯罪事実確認で確認できる性犯罪歴とはもあわせてご覧ください。

犯罪事実確認記録の管理・廃棄・漏えい時の対応は、「日本版DBSの情報管理措置」で整理しています。

まだ何も決まっていない段階でもご相談いただけます。初回のご相談は無料です。自社が対象になるかどうか、先に整える書類、着手する順番を確認できます。

参考資料

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