「こども」「子ども」「子供」の使い分け|国のルールと規程での書き方

「こども」「子ども」「子供」の使い分け|国のルールと規程での書き方

規程や保護者向けのお知らせを作っていると、「こども」「子ども」「子供」のどれで書けばよいのか迷うことがあります。結論からお伝えすると、3つとも誤りではありません。選び方の基準は「どんな文書か」です。国の行政文書は原則として「子供」、こども家庭庁が関わる文書は「こども」、法律名や施設名などは元の表記のまま、というのが国の整理です。事業者の文書では、どれか1つに決めて、1つの文書の中で混ぜないことが大切です。この記事では、3つの表記の根拠と、日本版DBS(こども性暴力防止法)の規程やお知らせでの書き分け方を整理します。

3つの表記には、それぞれ根拠がある

表記 主に使われる場面 根拠
子供 国の行政機関の文書(原則) 常用漢字表の「供」の例に「子供」が載っており、政府の公用文はこれに従う
こども こども家庭庁の文書、こども施策の文書 こども基本法の考え方を踏まえ、2022年9月に国が平仮名表記を推奨
子ども 法律名、自治体や学校の文書など 「子ども・子育て支援法」など、法律名として使われている

「子供」は、国の公用文の原則

政府は2021年の答弁書で、国の行政機関が作る公用文では原則として「子供」と書いていると説明しています。根拠は、常用漢字表で「供」の字の使い方の例に「子供」が挙げられていることです。ただし、特別な事情があればこれによらなくてもよく、地方公共団体の文書は各自治体が判断するものとしています。

「こども」は、年齢で区切らないための表記

2022年9月15日、こども家庭庁の設立準備室は各府省庁に「こども」表記を推奨する事務連絡を出しました。こども基本法は「こども」を「心身の発達の過程にある者」と定めており、一定の年齢で区切らないために平仮名で書く、という理由です。あわせて、次の3つは「こども」にしなくてよい特別な場合として示されています。

  • 法令に根拠がある言葉を使う場合(例:子ども・子育て支援法の「子ども」)
  • 予算事業名や組織名などの固有名詞を使う場合
  • ほかの言葉との関係で別の表記が必要な場合(例:子供期・現役期・高齢期)

「供」の字は差別的なのか

「供」が「お供」を連想させるため、漢字の「子供」を避けるという考え方があります。一方で政府は、「子供」が差別表現かどうかについて判断したことはないと答弁しています。文化審議会の「公用文作成の考え方」も、字面の印象だけで言葉の使用をやみくもに禁止することには慎重であるべきだとしています。「子供」と書いたから失礼になる、と心配する必要はありません。

こども性暴力防止法の中にも、複数の言葉がある

日本版DBSは、こども家庭庁が「こども性暴力防止法」と呼んでいる法律です。ところが正式名称は「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律」で、条文が守る対象は「児童等」と定義されています。児童等とは、別の法律(教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律)が定める「児童生徒等」に、高等専門学校の1〜3年生と専修学校(高等課程)の在学者を加えたものです。

さらに条文の中には、児童福祉法の「児童」や、認定こども園法の「子ども」も出てきます。法律の言葉は、それぞれ定義とセットで使われています。通称の「こども」と、条文の「児童等」は、指している範囲が同じとは限らない点に注意が必要です。

事業者の文書での書き分け方

文書 書き方の目安
児童対象性暴力等対処規程、就業規則 法律の言葉(「児童等」など)に合わせ、定義の条文で法律を引く
保護者やこども向けのお知らせ、掲示物 読み手に伝わりやすい表記を選ぶ(「こども」など)
法律名、制度名、施設名の引用 元の表記のまま(子ども・子育て支援法、こども基本法、認定こども園など)

「公用文作成の考え方」は、法令に準じる文書では法令と表記を一致させ、広く一般に向けた解説や広報では、漢字で書くことになっている言葉も仮名で書いてよいとしています。また、1つの文書の中で同じ言葉に複数の表記を混在させず、部署で表記の考え方を共有しておくよう求めています。事業者の文書でも、この考え方がそのまま参考になります。

規程の中で「児童等」と書く場合は、定義の条文で法律の第2条を引いておくと、範囲の食い違いを防げます。規程の作り方は「防止措置を就業規則と整合させる実務ガイド」もあわせてご覧ください。

社内の表記ルールを決める3つの手順

表記の揺れは、文書を作る人が増えるほど起こりやすくなります。日本版DBSの準備では、規程、誓約書、研修資料、保護者向けのお知らせなど、多くの文書を短い期間で作ることになります。作り始める前に、次の手順で表記を決めておくと、あとで直す手間が減ります。

  1. 基本の表記を1つ決める:一般の説明文で使う表記を「こども」「子ども」「子供」から1つ選びます。迷う場合は、こども家庭庁の資料と同じ「こども」にすると、国の資料を参考にして文書を作るときに表記がそろいやすくなります。
  2. 例外を書き出す:法律名、制度名、施設名、条文の用語(「児童等」など)は、元の表記のまま使うと決めておきます。
  3. 一覧にして共有する:決めた表記を1枚の表にまとめ、文書を作る人全員が見られる場所に置きます。外部に作成を頼む場合も、この表を渡しておきます。

すでにある規程や掲示物は、日本版DBSに合わせて見直すときや作り替えるときに、あわせてそろえていくと負担が少なく済みます。

よくある質問

社内の文書で「子供」と書くのは間違いですか?

間違いではありません。国の公用文の原則も「子供」です。大切なのは、1つの文書の中で表記をそろえることです。

自治体に出す書類は、どの表記に合わせればよいですか?

地方公共団体の文書の表記は、各自治体が判断するものとされています。提出先の様式や案内文の表記に合わせると、読み手が迷いません。

保護者向けのお知らせで「児童等」と書く必要はありますか?

必ずしも必要ではありません。一般の人に向けた説明では、分かりやすい言葉を使ってかまいません。ただし、対象の範囲を正確に伝える必要がある場面では、法律の言葉と定義を添えると誤解を防げます。

国の資料を引用するときも、自社の表記に直しますか?

直しません。引用する部分は、元の資料の表記のままにします。「公用文作成の考え方」も、1つの文書の中で表記をそろえる原則から、引用部分を除いています。

日本版DBS認定運用サポートでは、社会保険労務士・行政書士の立場から、児童対象性暴力等対処規程や就業規則、保護者向けのお知らせの整備をサポートしています。

まだ何も決まっていない段階でもご相談いただけます。初回のご相談は無料です。自社が対象になるかどうか、先に整える書類、着手する順序を確認できます。

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