こども性暴力防止法では、事業者が犯罪事実確認の結果等を踏まえて防止措置(配置転換等)を適切に実施するため、就業規則をはじめとする社内規程の事前整備が不可欠です。本ページでは、認定申請に必要な規程類と、整備にあたっての実務上のポイントを解説します。
認定申請に必要な規程
認定申請の際、以下の規程を添付書類として提出する必要があります(法第19条第4項、法第20条第1項)。
1. 児童対象性暴力等対処規程(必須添付)
以下の事項を定めた規程を作成し、申請書に添付します。
- 防止措置:特定性犯罪事実該当者を対象業務に従事させないこと、被害申出時の接触回避等
- 調査の実施:児童の人権に配慮した公正・中立な事実確認の手順
- 保護・支援:被害児童と加害疑い者の接触回避、支援機関情報の提供、保護者への誠実な対応
規程には「児童対象性暴力等」と「不適切な行為」の定義、実施体制の整備、報告ルール、対応ルール等の必須記載事項があります(規則第19条第2項)。
2. 情報管理規程(必須添付)
犯罪事実確認記録等を適正に管理するため、以下を含む規程を策定します。
- 管理責任者の設置
- 取扱者の範囲(必要最小限に限定)
- 組織的・人的・物理的・技術的な安全管理措置
- 記録の廃棄・消去の手順
- 漏えい等発生時の対応体制
3. 就業規則の改定
防止措置として配置転換や懲戒処分を行う場合、あらかじめ就業規則に根拠規定を設けておく必要があります(ガイドラインⅣ.2.(2)エ)。
主な改定事項は以下のとおりです。
- 懲戒事由の追加:児童対象性暴力等に該当する行為、不適切な行為を懲戒事由として明記
- 配置転換規定:犯罪事実確認の結果等を踏まえた配置転換の根拠を明記
- 採用規定:犯罪事実確認への協力義務、犯罪歴に関する虚偽申告時の対応
- 情報管理義務:犯罪事実確認記録等に関する秘密保持義務
- 研修受講義務:児童対象性暴力等防止研修の受講を義務化
就業規則変更の手続き
就業規則の変更にあたっては、労働基準法に基づく以下の手続きが必要です。
- 変更内容の検討・起案
- 従業員への説明会の開催(複数回の開催を推奨)
- 労働者代表への意見聴取
- 労働基準監督署への届出
- 従業員への周知
労働法制上の留意点
配置転換について
ガイドラインでは、防止措置としての配置転換に関して以下の点に留意するよう求めています。
- 職種限定の合意がある場合は、本人の個別同意が必要
- 職種限定がない場合でも、著しい不利益を伴う場合は権利濫用となる可能性がある
懲戒処分について
懲戒処分を行う場合は、就業規則に懲戒種別と事由を定め周知した上で、弁明の機会を付与する必要があります。児童対象性暴力等対処規程に防止措置を定めていることのみをもって懲戒処分を行うことはできません。
内定取消しについて
内定取消しに備えて、採用選考の段階で次の3点を整えておくことが適当とされています(こども家庭庁Q&A 基礎編7-4)。
- 募集要項の採用条件に、特定性犯罪の前科がないことを明示する
- 内定前(履歴書の提出時など)に、誓約書で特定性犯罪の前科の有無を確認する
- 内定通知書に、内定取消し事由として「重要な経歴の詐称」を定めておく
犯罪事実確認そのものは、内定などで業務に就くことが決まった人について行うもので、内定の前には行えません(同Q&A 基礎編6-4)。
派遣労働者・外部委託・ボランティアへの対応
派遣契約や業務委託契約においても、犯罪事実確認への協力義務に関する条項を追加することが必要です。ボランティアについては、登録規約に協力義務と登録取消条項を明記します。
なお、派遣労働者について派遣元に伝えられるのは「児童対象性暴力等が行われるおそれがあると認めた」ことだけで、犯罪事実確認の結果そのものを伝えることは法第12条に違反します(こども家庭庁Q&A 基礎編7-8)。
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このテーマの解説記事は「就業規則等社内規程整備の記事一覧」にまとめています。規程づくりや認定申請の準備をまとめて相談したい方は「日本版DBS認定申請サポート・代行」をご覧ください。
根拠資料
- こども家庭庁「こども性暴力防止法」条文
- こども家庭庁「こども性暴力防止法施行規則」(令和8年8月5日掲載版)
- こども家庭庁「こども性暴力防止法施行ガイドライン」(令和8年9月2日改訂版)
- こども家庭庁「こども性暴力防止法に関するQ&A」(令和8年9月29日改訂版)
- こども家庭庁「こども性暴力防止法」制度ページ
執筆・内容確認:田中義人(社会保険労務士・行政書士・公認心理師)
内容確認日:2026年10月13日(上記資料の最新版と照合)