こども性暴力防止法の概要と事業者の対応|2026年施行に向けて知っておくべきポイント

こども性暴力防止法の概要と事業者の対応|2026年施行に向けて知っておくべきポイント

こども性暴力防止法とは

こども性暴力防止法(正式名称:学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等に関する法律)は、教育・保育の現場において子どもたちを性暴力から守るために制定された法律です。2024年6月に成立し、2026年度中の施行が予定されています。

この法律は、学校や塾、スポーツクラブなど、子どもと接する事業者に対して、性暴力の防止に向けた具体的な措置を義務づけるものです。いわゆる「日本版DBS」とも呼ばれ、イギリスのDBS(Disclosure and Barring Service)制度を参考に設計されています。

法律制定の背景

近年、教育・保育の現場における性暴力事案が社会問題となっています。教員やコーチなど、子どもとの信頼関係を利用した性加害は、被害が長期間にわたって潜在化しやすく、被害者に深刻な影響を与えます。

従来の制度では、過去に性犯罪で処分を受けた者が別の教育機関で再び子どもと接する職に就くことを防ぐ仕組みが十分ではありませんでした。この法律は、そうした制度的な隙間を埋め、子どもの安全を組織的に確保することを目的としています。

対象となる事業者の範囲

本法律の対象は、大きく以下の2つに分類されます。

義務対象:学校設置者等

  • 幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校などの学校設置者
  • 認定こども園、保育所の設置者
  • 児童養護施設等の児童福祉施設

認定対象:民間教育保育等事業者

  • 学習塾、予備校
  • スポーツクラブ、スイミングスクール
  • 放課後等デイサービス
  • その他、子どもに対する教育・保育を業とする民間事業者

民間事業者については、国の認定を受けた事業者が犯罪歴確認の仕組みを利用できる認定制度が設けられています。

事業者に求められる主な対応義務

1. 従事者の犯罪歴確認

事業者は、子どもと接する業務に従事する者について、性犯罪歴の有無を確認する義務を負います。確認はこども家庭庁が整備するシステムを通じて行われ、特定の性犯罪による前科がある場合、その情報が事業者に通知されます。

2. 児童対象性暴力等の防止措置

犯罪歴の確認だけでなく、以下のような総合的な防止体制の構築が求められます。

  • 児童対象性暴力等の防止に関する方針の策定・公表
  • 従事者への研修の実施
  • 相談体制の整備
  • 子どもと従事者が二人きりにならない環境づくり

3. 性暴力が疑われる場合の対応

性暴力等のおそれがあると認められた場合には、当該従事者を子どもと接する業務から外すなどの防止措置を講じる義務があります。事実確認と被害児童への支援を迅速に行う体制を整える必要があります。

施行に向けて事業者が準備すべきこと

2026年度の施行に向けて、対象となる事業者は以下の準備を進めることが重要です。

  1. 自社が対象に該当するかの確認:法律の対象範囲を把握し、義務対象か認定対象かを整理する
  2. 社内規程の整備:性暴力防止に関する方針やガイドラインを策定する
  3. 研修プログラムの準備:全従事者を対象とした研修内容を検討する
  4. 相談窓口の設置:子ども・保護者・従事者が安心して相談できる体制を構築する
  5. 採用プロセスの見直し:犯罪歴確認の手続きを採用フローに組み込む準備をする

まとめ

こども性暴力防止法は、子どもの安全を社会全体で守るための重要な法的枠組みです。事業者にとっては新たな義務が生じますが、これは子どもたちが安心して学び、成長できる環境を保障するために不可欠な取り組みです。

施行までの期間を活用し、必要な体制整備を計画的に進めていきましょう。最新の政省令や施行スケジュールについては、こども家庭庁の公式情報を定期的に確認することをおすすめします。

※本記事の内容は、令和8年3月28日現在における下記の資料に基づいたものです。

・こども性暴力防止法施行ガイドライン
・横断指針

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